日本製鉄、USスチール買収禁止命令に提訴 「買収を諦める理由も必要もない」と徹底抗戦
日本製鉄は1月6日、USスチールの買収計画に対して出されたバイデン米大統領の命令取り消しなどを求め、米裁判所に提訴したと公表した。7日に開いた会見に出席した橋本英二会長兼CEO(最高経営責任者)は「(裁判を通じて)買収が米国の国家安全に資するものだと証明する。買収を諦める理由も必要もない」とし、徹底抗戦する構えを見せた。 訴訟はUSスチールと共同で起こした。買収計画に対して違法な政治的介入があったとし、バイデン大統領への命令の取り消しと、対米外国投資委員会(CFIUS)による審査無効を求める。また、USスチールの競合であるクリーブランド・クリフス社と全米鉄鋼労働組合(USW)が共謀し、買収阻止を目的にバイデン大統領に働きかけたとし、USWのデービッド・マッコール会長とクリフス社の会長などに対しても提訴した。 バイデン大統領は3日、国家安全保障上の懸念があるとし、日鉄とUSスチール両社に対し、原則30日以内に買収計画を放棄するための措置を講じるように命じた。一方、橋本会長兼CEOは、買収により現在は米国で生産されていない鋼材を作ることが可能になるなど「米国の国家安全にも資する」と説明した。 足元の鉄鋼市場は、中国企業の過剰生産によって鋼材価格が下落するなど厳しい市場環境を強いられている。橋本会長兼CEOは、買収が現状を生き残るための「唯一の手段」であると訴えた。