【市川紗椰の週末アートのトビラ】PLAY! MUSEUM「オバケ?」展をご案内
市川紗椰さんがアートを紹介する連載。第25回はPLAY! MUSEUMで開催中の「オバケ?」展を訪問しました。 市川紗椰がナビ!PLAY! MUSEUM「オバケ?」展(写真) ■今月の展覧会は…「オバケ?」展 “旬のクリエイターたちが腕をふるってオバケをテーマにアートで遊ぶ!” 私が埋もれているのは、高発泡ポリエチレンでできた緩衝材がいっぱいに入った「オバケ湯」。デザイナー祖父江慎が手がけた、体験して、撮影して、遊べるアートな銭湯です。 浸かると、童心に返って日頃の悩みも洗い流せる……⁉ 東京駅から約1時間、立川にあるPLAY! MUSEUMで開催中の「オバケ?」展は、デザイン、マンガ、現代アートに、文学、歴史、伝統芸能などの「オバケ」をテーマにぎゅっと集めたお祭りのような展覧会。オバケ屋敷風コーナーで気配を“感じる”、立体、映像、平面ほか、様々なメディアでオバケを“見る”、日本美術史や500冊の絵本の展示を通じて“知る”、そして最後はオバケに“なる”。会場はアトラクション的なワクワク感に満ちていますが「子ども向け」だと思ったら大間違い。なんといっても作り手の顔ぶれが豪華で、この展覧会のためのオリジナル作品も充実。今をときめくクリエイターたちが「オバケってなんだろう?」という問いかけに渾身の力で答えているのです。たとえば、春風亭一之輔によるオバケの絵本『ねないこだれだ』の朗読、アカデミー賞受賞のアニメーション作家加藤久仁生による最高に可愛い新作短編「オバケズ」、翻訳家の柴田元幸や写真家川内倫子らによる「オバケ研究所」の発表……個人的には、とぼけた味わいのLINEスタンプに注目していたアーティスト平山昌尚の描くオリジナルグッズを発見して、グッときました。テーマが「オバケ」のせいか、どの作家も難しい顔をせず楽しんでいる雰囲気が伝わってきて、なんだか心温まります。 「オバケ」を入り口に、気になるカルチャーや未知のアーティストに出会えるいい機会。次はあのイベントに行ってみよう、と新しい興味も広がるはず。大人の遠足にぴったりです! ■最後は自分もオバケになれる!? カジュアルに楽しめる、体験型のアート展! 「オバケ湯」に埋もれる、今まで訪れたアート展ではお目にかかれない写真(笑)。オバケは水に弱いので、ミナフォームマルマルRという緩衝材で作った「カワキミズ(渇き水)」をお湯のかわりに入れているのだそう。商品名も可愛い。