秋の行楽シーズンを前に 静岡県内で斜面崩落による孤立相次ぐ 静岡市の現場は土砂撤去も22日に再び崩落
Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
秋の行楽シーズンを迎えようとする中、静岡県内では、この1週間で2件の土砂崩落による道路の封鎖で行楽客や登山客などが孤立する事案が相次ぎ、ヘリコプターでの救出作業が行われました。 【9月18日(水) 川根本町 寸又峡・夢のつり橋付近で斜面崩落】 18日午前10時ごろ、川根本町の観光地・寸又峡の遊歩道で大規模な落石が発生しました。「寸又峡夢のつり橋」は、静岡県の最北部南アルプスの入口で、新緑や紅葉シーズンを中心につり橋下の青い湖が人気の有名観光スポットです。現場は、駐車場と「つり橋」を結ぶルートの途中で徒歩での「う回路」はありません。 観光客や工事関係者ら34人が取り残され、一時、孤立状態となりましたが、発生当日の午後6時までに県警のヘリコプターなどが全員救助し、けが人はいませんでした。 (救助された人) 「1歩間違えば命はなかったかもしれない巻き込まれたかもしれない。助けていただいたのは本当にありがたいなと思います」「ダムの管理施設に災害用のお水とかが常備してあったので飲み物いただけたのでありがたかったです」 一夜明け、現場では… (芳賀 康俊 記者) 「今、川根本町の職員が入っていきました。のり面上部を調査するようです。」 町では、24日から落石の撤去作業を行う予定で、19日は、担当者があらためて現場の状況を確認しました。 近くで旅館を営む人は・・・ (旅館の女性) 「1年で1番期待する時期。もみじもそろそろ(紅葉する)。つり橋がないと寸又峡はダメ」 これから寸又峡温泉は1年の中で最も観光客が訪れる紅葉のシーズンを迎えるだけに、「夢のつり橋」までをつなぐ遊歩道の復旧が長引く場合は、観光への影響が心配されます。 川根本町では、落石は、長年の風化と雨の浸食によるのり面の剥離崩壊で起きたとみていて、10月末までに現場の安全を確保し、紅葉シーズンまでに復旧させたいと話しています。 【9月19日(木) 静岡市葵区 椹島ロッヂ付近林道で土砂崩落】 夢のつり橋付近での落石事故のすぐ翌日の19日、今度は、静岡市葵区の、林道・東俣線で土砂崩れが発生しました。 これは、ドローンで撮影した土砂崩れの現場の様子です。山肌がむき出しとなり、土砂が道路をふさいでしまっています。林道上を40メートルにわたり、大量の土砂が覆っています。このため、「椹島ロッヂ」などに宿泊した登山客やリニア中央新幹線の工事関係者ら、あわせて212人が孤立しました。 こちらは19日夜、椹島ロッヂの中で撮影された映像。19日のうちに下山する予定だったという人に電話で話を聞くと・・・ (孤立した登山客) 「まさか自分が丸一日帰れないと思わないですよね、正直。慌ててうちの(妻)に連絡を入れて『大変なことになったね』って話はした。」 この日、体調不良を訴えた1人がヘリで搬送されましたが、土砂崩れに関わるけが人はいませんでした。 そして、一夜あけた20日。孤立した人たちの救助活動は午前6時前に始まり、県と静岡市のヘリコプター2機で、椹島ロッヂから井川診療所の横のヘリポートまで運んでいきました。 (救助された登山客) 「降りたときは、孤立していたところから抜けられたという安心感は強かった。(椹島ロッヂで)食事も用意していただいて、お風呂も入れたので、きょうどうなるかわからない部分もあったが、皆さんで励まし合いながら過ごすことができた。」 静岡市の井川支所に待機所が設けられ、救助された人たちが安堵の表情を浮かべていました。 (救助された登山客) 「ホッとした。けがもなく命があって、次また楽しめるから、それはみんなよかったって。本当にヘリがありがたかったです。」 今回の土砂崩れを受け、静岡市は災害対策本部を設置。崩落の原因について、20日、難波市長は・・・ (静岡市 難波市長) 「先日、寸又峡でも崩落していますが、長雨が続いて相当雨がたまっていますので、よくある現象だが、雨のピークのときに落ちるのではなく、少しずつ滑りながら最後ドカーンと落ちることがありますので、おそらくそのせいではないかと思っています。」 静岡市は、21日夕方までに斜面の崩れかけの土砂や路上の土砂の撤去を完了していました。ところが、22日朝、あらためて現場を確認したところ、未明からの雨の影響で再び斜面が崩れ、およそ50立方メートルの土砂で路面が埋まってしまいました。このため、この区間の通行の再開は24日以降となる見通しです。 なお、静岡市の土砂崩落で、救助を希望した164人の搬送は、21日午前までに全員終了したということです。