ジェイク・ポール戦が迫るマイク・タイソンのベストバウトは? その全盛期とプロキャリアを振り返る
日本時間11月16日(土)、伝説の元ヘビー級チャンピオン、マイク・タイソンが約20年ぶりにプロボクシングのリングに帰ってくる。この日、タイソンは米テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムで、インフルエンサーでありボクシング『初心者』であるジェイク・ポールと対戦する。試合は2分間8ラウンドの公式戦として行われる。 マイク・タイソンvsジェイク・ポールに「八百長契約」説が浮上? 殿堂入りの元統一世界王者が告発 久々の公式戦を迎える元チャンピオンの殿堂入りキャリアと、その全盛期に収めた注目すべき勝利を、名門『The Ring』誌(リングマガジン)の元編集人で、現本誌格闘技部門副編集長のトム・グレイが振り返る。
賛否両論ファイト間近のタイソン、その全盛期は色褪せない?
2006年10月には練習パートナーだったコーリー・サンダースと、2020年11月末には4階級制覇王者ロイ・ジョーンズ・ジュニアとエキシビションマッチで戦ったが、現在58歳のタイソンが『プロボクサー』として最後にリングに上がったのは2005年6月のこと。アイルランド出身のケビン・マクブライドを相手に6ラウンドで棄権し、屈辱的な敗戦を喫した。そして元チャンピオンが最後に公式戦で勝利したのは、2003年2月に無名のクリフォード・エティエンヌを1ラウンドでノックアウトした試合だ。 一方、27歳のジェイク・ポールは、兄のローガンとともにYouTuber兼起業家としての顔を持つ若手ボクサーだ。プロボクシング戦績は10勝1敗ながら(およそ正統的ボクシングシーンに属さない)注目に値しないファイターたちとの対戦で築かれたものだ。 それでも、ジェイク・ポールはインフルエンサーとしてZ世代の若者たちを惹きつける強力な誘引力、いわゆる数字を持った男であり、それこそがこの奇妙な数百万ドル規模のイベントが、映画やドラマを主力コンテンツとするNetflixで、2億8000万を超えるという世界中の視聴者に向けて放送される理由でもある。 年齢差について補足すると、ジェイク・ポールが1997年1月17日に生まれたとき、タイソンの世界チャンピオンとしての時代はすでに終わっていた。その2か月前、『地上最凶の男』(The Baddest Man on the Planet)は同じヘビー級の偉大な選手であるイベンダー・ホリフィールドに完膚なきまでに叩きのめされ、王座を奪われていた。その後、タイソンが世界タイトルマッチで再び勝利することはなかった。 もちろん、今回のジェイク・ポールvsタイソンのイベントについてどのような意見を持とうとも、現役時代のタイソンがどれほどのスター選手であったかを見過ごすことは不可能だろう。