冷蔵庫は「冷やすだけ」じゃないって知ってた? 「美味しく」保存するため日立が組み込んだ技術とは
一昔前までは冷蔵庫といえば食材を冷やすシンプルな家電でした。しかし、最近はどのメーカーも上位モデルに「美味しく」保存する高度な技術を投入しています。 【写真】新鮮スリープ野菜室非搭載の冷蔵庫で保存した小松菜と、新鮮スリープ野菜室で保存した小松菜。どちらも10日間保存したものだが、これだけ違う 日立グローバルライフソリューションズ(以下、日立)の家庭用冷蔵庫上位モデルも、さまざまな「美味しい技術」を集めた製品。とはいえ、以前からある機能はなかなか注目されにくいもの。ここではその保鮮技術の秘密をひも解いていきましょう。
■野菜が驚くほど長持ちする野菜室 日立の冷蔵庫といえば、野菜を長持ちさせる「新鮮スリープ野菜室」は絶対に知っておいてほしい機能。10年前から登場している機能ですが、今も「この機能があるから日立の冷蔵庫を買う」というファンも多い注目機能です。 その理由は一目瞭然。劣化が早い野菜といえば葉野菜ですが、新鮮スリープ野菜室に保存した小松菜は10日経過しても葉の先までピンとみずみずしいまま保たれています。
野菜が長持ちする理由は「酸素」と「湿度」にあります。冷蔵庫は「冷やす」過程で湿気が排除されてしまうため、冷蔵庫内は通常かなり乾燥しています。 しかし、野菜が乾燥でしなびないためには、野菜庫は高湿度であることが重要です。そこで、新鮮スリープ野菜室は仕切りと浅型トレーで野菜庫の一部を密閉。この密閉した空間に水分を閉じ込めて高湿度な空間を作り出すのです。
生野菜は保存しているときも呼吸をして成長しています。ただし、成長するということは老化することでもあります。そこで、一部の農家は酸素を減らした「CA貯蔵」という技術で野菜の保存期間を延ばしています。 新鮮スリープ野菜室も、野菜から出るエチレンガスやニオイ成分を、プラチナ触媒で炭酸ガスと水に分解。密閉された新鮮スリープ野菜室の炭酸ガス割合を増やすことで、酸素の割合が少ない空間をつくりだします。ちなみに、野菜から発生するエチレンガスは野菜の老化を早める性質があります。このため、エチレンガスを分解することも「野菜長持ち」の理由のひとつです。 ■手間ナシで素早い冷凍ができる冷凍室 冷凍技術で注目したいのは「デリシャス冷凍」。これは食材を素早く冷凍させる機能です。肉などの食材は冷凍すると細胞内に氷の結晶ができ、細胞を傷つけることがあります。この傷のために解凍時にドリップ(肉汁)が流出。ドリップには肉の旨みなども入っているため「冷凍した肉は美味しさが落ちる」などと言われます。 冷凍庫内の温度は-18度前後ですが、食材は凍る途中の-1度から-5度までの温度帯で氷の結晶ができやすいことがわかっています。日立のデリシャス冷凍は、この-1度から-5度の温度帯を素早く通過するための急冷技術。具体的には、アルミトレーで食材の熱を素早く奪い、食材の温度に反応して冷風を自動制御します。