インテル株が上昇、クアルコムが過去数日に買収打診との報道
(ブルームバーグ): 米半導体メーカーのインテルの株価が20日に上昇。同社に対してクアルコムが買収を打診したと、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が事情に詳しい匿名の関係者を引用して報じた。実際に買収提案となれば、半導体業界では記録的な規模となる可能性がある。
同紙によると、両社の話し合いは過去数日の間に持たれた。インテルとクアルコムの広報担当者はそれぞれコメントを控えた。
インテル株は3.3%高で取引を終了。一時は9.5%高まで買い進まれた。
かつては世界最大の半導体メーカーだったインテルだが、技術的優位性を失うのに伴って販売不振と損失の拡大が続いてきた。現在の時価総額は約935億ドルと、クアルコムの半分程度にとどまる。それでも買収が実現すれば半導体業界における史上最大の取引になるとみられ、業界に大きな変化をもたらす可能性がある。
クアルコムの株価は2.9%下落。こうした取引を巡るリスクへの投資家の懸念を反映した。
インテルは先に、業績回復を目指した一連の取り組みを発表。その中には、アマゾン・ドット・コムのクラウドサービス部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)との「複数年にわたる数十億ドル規模の枠組み」で、人工知能(AI)コンピューティング用のカスタム半導体に共同投資する計画も含む。
インテル、アマゾン向けカスタムAIチップ製造へ-独工場延期
一方のクアルコムはスマートフォン用プロセッサー販売で世界最大手だが、より幅広い分野への進出を試みている。それには、インテルが依然として優位を保っているパソコン向けチップも含まれる。
クアルコムは自社で生産は行っておらず、台湾積体電路製造(TSMC)のようなパートナー企業に製造を委託している。インテルを買収すれば、パソコン市場で最大のブランドを傘下に収めるだけでなく、米国内での自社生産にも道が開けることになる。
原題:Intel Gains on Report That Qualcomm Made Takeover Approach (2)(抜粋)
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Ian King