50代独身ひとりっ子、遠方の母への仕送り30年「私、こんな苦労する必要なかったのに…」母の死後に判明した驚愕事実
金曜日の夜に届いた「母危篤」の連絡
数カ月前の金曜日の夜、山田さんが自宅マンションに帰ったタイミングで、携帯電話に知らない番号から着信がありました。電話に出ると、病院の関係者だといいます。 「母親が出先で倒れ、病院に搬送されたというのです。すでに重篤な状態だということでした。急いで向かいましたが、その間に容体が悪化し、亡くなりました」 山田さんはその後、亡き母親を火葬し、母親が亡くなるまで住んでいたアパートの整理に着手しようとしましたが、なかなか作業が進まないうえ、資産の整理も行う必要があることから、筆者の事務所がサポートすることになりました。 筆者のところに依頼があったとき、山田さんはある程度まで自力で調べており、メインバンクの残高証明も取得していました。そこから調査を進めると、母親は10年以上前に自身の親族から資産を相続したようで、収益不動産のほか、母親名義の2,000万円以上の預貯金も保有していました。 筆者の提携先の税理士や司法書士の尽力もあり、調査は粛々と進みました。
クローゼットの奥から出てきた、小さな箱とメッセージカード
ところが、筆者のもとに山田さんから「話したいことがある」と連絡があり、急遽事務所に来ていただくことになりました。 「クローゼットの奥から、こんなものが出てきたのです」 山田さんが母親の衣類を廃棄するため、ポリ袋に詰めていたところ、積み重なった衣類の下から小さな段ボール箱が出てきました。箱を開けると、その中に小さなカギのついた木製の小物入れがありました。 「箱のカギは、母のドレッサーの引き出しにありました」 山田さんが箱の中を確認すると、山田さんの名前が記載された普通預金の通帳で、2,000万円もの残高があるといいます。いわゆる「名義預金」でした。 通帳の下には、色あせた花模様のメッセージカードがあり、母親の筆跡で「由美子さんへ 母より」と、山田さんの名前が書かれていました。 通帳の記録を確認すると、山田さんが中学生のころから定期的に入金があり、山田さんが18歳のときには、すでに500万円以上にもなっていました。おそらく山田さんの父親からの養育費も含まれていると思われました。その後も、母親の別の口座から定期的な入金があり、一度も引き出された形跡はありませんでした。 「…本当にばかみたい。こんなお金があったなら、私、奨学金で苦労しなくてよかったのに。そうでなくても、母が自分の生活費に充ててくれていれば、私が30年近く、毎月送金する必要もなかったじゃないですか…」 そういうと山田さんは、メッセージカードを投げるようにして打ち合わせテーブルに置きました。 「私、高校生のときのバイト代は、全額母に渡していたんです。私がいるせいで、母が大変だと思っていましたから。お金がなくても、やりたい勉強ができなくても、仕方ないと思っていました。お金がなさ過ぎて、好きな人とのお付き合いをあきらめたこともあります」 それだけいうと、山田さんは黙ってうつむきました。
【関連記事】
- 郷里の母への仕送りを、母がすべて私名義の口座に貯金していました。このお金に相続税は課税されますか?【弁護士が回答】
- 【年金月38万円・60代夫婦】余裕の老後生活へシフトのはずが一転。郷里の兄嫁、クルマに90代の母を乗せ、遠路はるばるやってきて…人生最大の番狂わせに「いまは無の境地」
- 「もうムリ、ごめんね」50代独身ひとりっ子、年金15万円・80代の同居母を残し、生まれて初めて実家を離れた切実理由
- 30代長男の死…嫁は「私たちを頼らないでください」と言い残し、孫を連れて海外移住。食堂で働き詰めの高齢母が、涙をこらえて遺した〈まさかの遺言書〉
- 「親が亡くなったら、真っ先にコンビニへ走る」が新常識!相続手続きで困らないためにやるべき、たった一つのこと【税理士が解説】