「ディオール」ビューティのトップが初めて語る ドレスと香りから生まれたメゾンの物語
クチュールとフレグランスの物語は相互的であり、
ますます緊密に協力していく
WWD:クリエイティブ ディレクターを務めるマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)やキム・ジョーンズ(Kim Jones)は、ファッションやビューティのアーカイブに触発されている。 クルトワCEO:マリア・グラツィアの最新の24-25年秋冬コレクションは、今回展示している1967年の「ディオール」初のレディトゥウエア コレクション「ミス ディオール」から着想している。エヴァ・ジョスパンの美しい刺しゅうの限定ボトルもコレクションにおける協力から誕生したもの。クチュールとフレグランスの物語は相互的であり、ますます緊密に協力していく。これが“ミス ディオール”をより豊かにし、他の香りとは全く異なる存在に導く理由だ。
WWD:日本のフレグランス市場で“ミス ディオール”に焦点を当てる狙いは? クルトワCEO:日本のフレグランス市場には大きな成長の可能性がある。「ディオール」のフレグランスはすでに日本で人気を獲得し、数多くのベストコスメを受賞している。香りは、感情的な夢の世界だ。自分をセクシーに見せるためでなく、自分らしさを表現し、エンパワーメントしてくれるもの。口紅と同じようにどの色を選ぶのか、どの香りを選ぶのかはその人の個性に委ねられる。自己表現の手段だと伝えられたら、より市場に広まるだろう。日本の若い世代はフレグランスに興味を持ち、強く引きつけられていると見ている。
WWD:フレグランスだけでなく、メイクやスキンケアも好調だ。全カテゴリーでのメゾンの強さの秘訣をどう分析するか。 クルトワCEO:まず、クリスチャン・ディオールの天才的なビジョンから始まっていること。「ディオール」は、純粋で私的なものから生まれた。また、商品の品質にも献身的にこだわっている。店内での感情的な体験も重要だ。例えば“リップ グロウ”を購入した若い女性は、その瞬間から「ディオール」ファミリーの一員になり、メゾンの一部となったように感じるだろう。これはエントリープライスから最も高価な商品まで、全てに共通する。これがメゾンの深みを生み出し、成功の一助となっている。今回の展覧会のような没入型の体験は、顧客がメゾンと感覚的に関わり、背後の豊かなレガシーと革新を伝える。今後も各国に応じた施策で、伝統と現代性のバランスを保ちながら成長を続けていく。