韓国で衝撃 元阪神助っ人に“非情な解雇” 炎上降板翌日に「契約を終える」と宣告「回復の兆しが見えなかった」
熾烈な競争を物語る発表が韓国球界に駆け巡った。 現地時間7月4日、KBO(韓国プロ野球)リーグの斗山ベアーズは、先発ローテーションの一角を担っていたラウル・アルカンタラのウェーバー公示を要請。3日のロッテ・ジャイアンツ戦で2回を投げ、被安打4、6失点と“炎上”していた名助っ人に解雇通知を言い渡した。 【動画】元阪神アルカンタラの快投! KBOでも図抜けたピッチングをチェック 日本でも馴染みのある助っ人右腕だろう。2020年に斗山で20勝2敗、防御率2.53という好成績を残したアルカンタラは、20年12月に阪神と契約。ただ、日本の水に馴染めなかった31歳は、入団後まもなくして中継ぎに配置転換されると、1年目こそ勝ちパターンの一角を担ったが、2年目は相次ぐ故障もあって成績が低迷。結局、通算63試合で、防御率3.96、WHIP1.17という不本意な内容で退団となった。 その後、古巣・斗山で指揮を執っていた元巨人のイ・スンヨプ監督の熱烈な誘いも受けたアルカンタラは、昨年に韓国球界に復帰。30試合に登板して13勝8敗、防御率2.66の好成績を収め、オフには契約金50万ドル(約8000万円)、年俸80万ドル(約1億3000万円)に出来高20万ドル(約3200万円)が付帯する総額150万ドル(2億4000万円)の再契約を締結した。 ただ、今季は肘の怪我が悪化。12先発で2勝2敗、防御率4.76と苦戦。思うように投げられない状況に本人はアメリカでの手術とリハビリを球団に申し出てもいた。そうした中で、斗山は元ツインズのトッププロスペクト投手であるジョーダン・バラゾビックと電撃契約。アルカンタラに非情とも言える解雇を宣告した。 球界でも人気のあった助っ人に対するシビアな宣告に衝撃は広まった。韓国メディア『SPOTV news』は、「厳しい判断だった。ただ、チームの事情で、こういう選択をするしかなかった。彼には本当に助けられた。こちらが何かしてやれずに申し訳ない……」というイ・スンヨプ監督のコメントを紹介。その上でアルカンタラが解雇通知を受けた舞台裏を伝えている。 「斗山はアルカンタラが6失点で降板を余儀なくされた登板の翌日にバラゾビックとの契約交渉を終えた。そして14時に出勤してきたアルカンタラに『契約を終えることになった』と解雇通告を告げた。アルカンタラは球団の決定に理解を示し、居合わせた選手たちに別れを告げ、荷物を全てまとめて球場を去った」 もっとも、貢献度の高かったアルカンタラの解雇は、球団としても容易な決断ではなかった。「昨日今日で決めたことではない」と断じるイ・スンヨプ監督は、指揮官としての複雑な胸中を打ち明けている。 「アルカンタラは怪我をして、回復をする時間が長くなるにつれて、いつかは“その時”を覚悟しなければならないかもしれないと思っていた。そして彼がリハビリから戻ってきてから球威が戻ってなかった投球を見て、その気持ちが強くなっていった。 ただ、彼は以前に20勝を挙げ、昨年も13勝した投手だ。そういうレベルの選手をこうして解雇するというのは、一日や二日で決められることではなかった。我々はとにかく慎重に考えた。ただ、復帰してから7登板で回復の兆しが見えなかったから決断をするしかなった」 群雄割拠のプロ野球界。その中で今回のアルカンタラへの決定は、何よりも“結果”を求められる助っ人選手の過酷な環境を物語る一例と言えよう。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]