昆虫ハンター・牧田習さんの人生を決めたクワガタとは? 子どもの「好き」に寄り添うために必要なこと
子どもの「昆虫が好き!」に寄り添うために
――昆虫好きの子どもへ寄り添うために必要なことは何でしょうか。 一番大切なのは、子どもから出た“ハテナ”を一緒に追いかけてあげることです。初めて昆虫を目にした時、子どもの頭の中にはたくさんの“ハテナ”が詰まっているはず。「なんでこんな体の色をしているの?」「どうしてこんな形をしているの?」そういった些細な疑問を見逃さずに、一緒に解決することが何よりも大事だと考えます。 たとえ、昆虫に対して苦手意識を持ってしまう場合でも、子どもから湧き出た疑問や興味を「そういうものだから」というように曖昧してしまうのはNGです。誰しも苦手なものはありますし、怖いと感じるのは自然なこと。ただ、親自身が「怖い」と感じることと子どもの興味を否定することは別問題です。「じゃあ一緒に調べてみようか」といった声かけをして子どもの興味を尊重することで、好奇心を育むことができるのではないでしょうか。 ――その他にできることはあるのでしょうか。 自分の場合、同じくらい虫好きな子たちと出会えたことが本当によい刺激になりました。博物館や昆虫館といった場所に行って、同じ熱量の人たちと交流することも大切だと思っています。子どもと一緒に虫採りに行くことが難しい場合も、コミュニティづくりがうまくいけば僕と同じように、そこでできた友達と虫採りに繰り出すこともあるでしょうし……。もちろん一人のほうがのびのび没頭できる、というタイプの子もいるかと思うので、その子の性格を考慮しつつ適切な“虫好きコミュニティ”を作ってあげられたらいいんじゃないかと思います。 ――「将来、昆虫に携わる仕事をしたい」と語る子どもたちに、親からフォローできることはありますか。 子どもが「虫のどういう側面が好きなのか・楽しいのか」を明確にしてあげることだと思います。生態や体の仕組みを調べて知ることが好きなのか、昆虫の絵を描くことが好きなのか、採集して飼育するのが好きなのか……。「昆虫好き」の方向性について一緒に考えることで、道筋も見えてくるのでは。 「昆虫に携わる仕事」といっても様々で、それは研究者のみにとどまりません。昆虫専門のペットショップや、そこに卸すための買い付けの仕事、はたまた昆虫のフィギュアやグッズを製作するクリエイターの道などもありますよね。そういった具体的な仕事の内容を把握しておけば、子どもの興味のベクトルに合わせて導くことができると考えています。