桜井麻衣、ボジラ、Sareee…そして林下詩美! ジュリアが去ったマリーゴールドに次々と生まれる新展開。いよいよ“本命”が「完全復活」を叫ぶか?
林下はスターダム時代に最高峰の“赤いベルト”ワールド・オブ・スターダムのチャンピオンになっている。 それも“アイコン”岩谷麻優に勝っての戴冠だった。1年以上にわたり防衛を重ねると、女子プロレス大賞を受賞。名実ともに女子プロレス界の頂点に立った。 しかしそこからが長かった。2018年のデビュー時点から“ビッグダディの三女”として注目され、さまざまなベルトを巻いてきた。赤いベルト戴冠は2020年。ベルトを失った2021年12月、彼女はまだデビュー3年あまりでしかなかった。 それ以降はユニットを支え、シングルプレイヤーとしては一歩引いたポジションに。とはいえ“老け込む”にはまだまだ早い。 「自分のために闘う」 そんな思いからマリーゴールドへ。しかしリーグ戦開幕前の記者会見で本人が語っていたように、大きな結果を出すことができていなかった。リーグ戦では、お互いが得意とするラリアットの打ち合いでMIRAIに敗れている。“聖地”後楽園ホールのメインイベントでの屈辱だった。 「これはMIRAIが勝ちたかった、100%の林下詩美じゃない」 試合後にはそんな言葉で叱咤されてもいる。それでも踏ん張り、失点を最小限に抑えて決勝へ。桜井との新鮮な顔合わせが林下本来の力を引き出したように見えた。 少し前までなら林下と桜井の間には明確な実力差があった。しかし桜井の成長が白熱の攻防を生み、林下を刺激したのだ。決勝で桜井と闘えてよかったと林下は言う。新たなライバル関係の誕生でもあった。 次々と新たな光景が展開されていくマリーゴールド。そのリーグ戦でいよいよ“本命”林下が中心に躍り出た感がある。しかし林下自身は、この優勝だけでは「完全復活」ではないという。 試合後はSareeeが持つワールド王座に挑戦表明。 「私には狙わなきゃいけないものがある。Sareeeに勝って完全復活を叫ばせてください」 頂点のベルトを巻いてこそ林下詩美。タイトルマッチは本来いるべき場所に戻るための闘いだ。だがそれだけではない。スターダムに続いての“赤戴冠”となれば、マリーゴールドの景色はさらに更新されることになる。 取材・文●橋本宗洋