「いざなみ景気」超えの可能性も? 景気動向指数と人々の景況感
もっともCI一致指数をみるだけで景気の転換点を捉えるのは適当ではありません。CIの弱点は、たとえば製造業生産が大幅に加速した場合など、一部の指標によって全体の数値が押し上げられることがあるからです。そこでDIの出番です。DIはそうした一部の指標だけが強さを示したときには(さほど)上昇しませんから、局所的な景気変動を除去できます。このようにDIとCIを同時に判断すれば、公平で正確な景気判断ができるというわけです。 こうした定量的基準から判断すると、足もとの日本経済は景気拡張局面にあると客観的に言えます。ただし一方で「戦後最長の景気拡張でも景気回復は実感できない」といった声があるのも事実です。そうした実感とのズレが生じるのは、景気拡張・後退の判断が、基本的に景気の「勢い」よりも「方向感」に重点を置いていることが深く関係していると思われます。景気動向指数を基にした景気判断は、指数が僅かでも上向きの状態にあれば、人々の肌で感じられない程度の改善であっても景気拡張と判定するからです。 要するに景気拡張期の長さと、人々の景況感は別物ということです。 (第一生命経済研究所・主任エコノミスト 藤代宏一) ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。