韓国・ソウルの「美しいカフェ」伝統菓子や韓屋の空間、器を楽しむ…ぜひ訪れたい3軒
1994 Seoul|静謐な空間で味わうお茶と伝統菓子のコース
ソウルではいま、お茶が一大ブームだそうです。それに伴うように、伝統菓子ブームも再燃。韓国茶を中心に日本や中国などのお茶とともに、消えつつある伝統菓子をコース仕立てで味わえるカフェも増えています。その端緒となった一軒がこちら。 店主のイ・ミョンゼさんは店名に冠した通り、1994年生まれ。餅屋を営む母の勧めで、師匠ソ・ミョンファンさんについて6年、みっちりと韓餅と韓菓を学びました。その確かな腕で手作りした伝統菓子が、美しい器で1品ずつお茶とともに出されます。 お茶を淹れる所作も美しく、穏やかな時間が流れるなか、次第に心が静まっていきます。旅の道すがら、豊かなひとときが過ごせます。 <写真>カウンターで静かにお茶を淹れる店主のイ・ミョンゼさん。
<写真>〈右〉 3種類のお茶に伝統菓子が2種類ずつ付くコース(80,000W)より。アカシアの花を使った酵素ドリンクと松の実餅。カステラのような柔らかい食感。 〈左〉韓国南部にあるお茶の名産地、宝城(ポソン)で有機栽培されたよもぎ茶と、マッコリを混ぜた生地を蜂蜜に漬けて作る開城(ケソン)地方の郷土菓子、ケソンジュアク。メニューは2カ月ごとに替わる。 【1994 Seoul】 ソウル特別市麻浦区城美山路23アンギル20-12 営業時間/12時、14時、17時、19時~の各回80分制 ※完全予約制 定休日/月・火・水曜
月下普洱(ウォルハボイ)|“時間(とき)”を味わうようにビンテージのお茶に浸る
アンティークのコレクターだった両親のもと、子どものころから中国茶に慣れ親しんできたチュ・ウンジェさんが営む中国茶と茶道具の専門店。1940年代に建てられたという赤レンガの建物に入ると、悠久の時間を遡るような年代物の茶器やお茶が棚にぎっしり並んでいます。 中国茶の中でもチュさんが特に魅せられたのがプーアル茶だそう。「長く置くことにより、味わいの変化を楽しむことができ、まさに“時間を飲む”ような感覚を味わえます」。普段はこの場所で中国茶のクラスを開催。また、幼稚園や小学校に出向き、子どもたちにもお茶の歴史や飲み方を教えるなど、次世代への継承にも力を入れています。 <写真>1995年生まれのチュ・ウンジェさん。中学から大学までカナダに留学し、帰国後、父親からプレゼントされたこの場所でティーサロンを始めた。
<写真>3種類のお茶をテイスティングするコースは、90分50,000W。お茶の種類は季節によって替わる。店内では、茶道具や茶葉の販売も行っている。稀少なプーアル茶や烏龍茶などの中国茶のほか、韓国産の野草茶なども扱っている。 【月下普洱】 ソウル特別市鍾路区北村路5ギル26 営業時間/11時~19時 ※DMにて要予約 定休日/火曜 撮影=在本彌生 コーディネーター=Choi Jieun 文=渡辺紀子(1994 Seoul) 編集・文=谷口恭子(婦人画報編集部) 『婦人画報』2024年11月号