〝令和のタモリ〟へとひた走る麒麟・川島明 現代の『いいとも!』『タモリ倶楽部』が成立する理由
令和の『笑っていいとも!』
川島がMCを務める番組と言えば、朝の帯番組『ラヴィット!』が真っ先に思い浮かぶ。 アイドル、モデル、俳優、元アスリート、芸人といったバラエティーに富んだ芸能人がイチオシの店や商品を紹介したり、ゲーム企画で競ったり、ギネス世界記録に挑戦したりする。ロケ企画などが流れるVTRコーナーもあるが、基本的には平日の朝に生放送される臨場感が売りの番組だ。 これを見て「令和の『笑っていいとも!』(フジテレビ系)だ」と感じている視聴者は多いのではないだろうか。もちろん昼には同局の『ぽかぽか』が生放送されているが、どちらかと言えば「トーク中心で構成された公開生放送の帯番組」という印象が強い。 これに対して『ラヴィット!』は、コーナーによって飲食店の店主やパフォーマー、一芸に秀でた一般人が登場する新鮮さがあり、セットチェンジが見切れるようなバタバタとした“躍動感”を中心に据えている。そして何よりも、毎朝当たり前のようにまばゆいほどの明るさを放っているところに『いいとも』の要素を感じる。 そんな番組の真ん中に立つのが川島だ。例えば今月13日の放送回でつんく♂プロデュースのアイドルグループ「令和のギャルル(仮)」の最終候補メンバー・遠山姫禾が「最初は緊張よりもドキドキが勝ってた」と言い間違えたシーン。 これにマヂカルラブリー・野田クリスタルが「それ(筆者注:ドキドキ)が緊張だろ!」と声を上げると、川島が「お前らは人に厳しいんだよ!」とたしなめて笑わせ、すかさず遠山に「緊張とワクワクみたいなね」とフォローしつつ進行していく。 芸人のセオリーに応えつつ、バラエティー慣れしていない新人にも不安を抱かせない。このバランス感覚が、思わず“令和のタモリ”と言いたくなってしまう川島の手腕だ。 昨年8月、若手芸人が切磋琢磨するバラエティー『深夜のハチミツ』(フジテレビ系)にゲスト出演した折には、粗削りな芸にも一言だけコメントして笑いを起こすようなベテランらしい貫禄を見せていた。 同番組で共演した若手芸人コンビ・センチネルのトミサットは、2023年11月30日にFRIDAYデジタル公開された「『収録は戦場』『お蔵入り頻発』…気鋭の若手コンビ『センチネル』が明かす『人気番組で感じた恐怖』」の中で、川島のスキルを「バケモノじみてました」と語っている。 「ちょっと芸人がゴチャついた状態になると、若手は『何この空気?』とか『すみません、ちょっとスベりました』とか降りる言葉を使うんですよ。でも、川島さんは必ず何かに例えたりして言葉で落としてくれる。しかも、1組だけじゃなく若手全組に振って落とすんです。一線級ってこのレベルなんだって痺れましたね」