「白血病の疑いがあります」歌手・井上あずみ 3歳の娘を襲った突然の病…「病室で歌った『さんぽ』で子どもたちに力をもらい」
先生の直感が的中して、急性リンパ性白血病とわかりました。あまりの衝撃的な病名に夫婦でショックを受けましたが、紹介された大きな病院では「その先生はお手柄でしたね。この段階でよく見つけてくれたと思います」と言われました。「この状態で来るのと、半年~1年経過してから来るのとでは全然違う」と言われて、少し救われた気がしました。 発見したのは発症から推定で3か月以内とのことでした。通常は1年くらいしないと発見されないものらしく、悪化する前にわかったわけです。ですから、血液にはまだ白血病の数値が現れる段階ではなかったので、血液検査でわかるものではなく、最初の先生のカンで骨髄の検査を受けることができて、本当に運がよかったです。
── とはいえ、ゆーゆさんの治療はおつらいことも多かったと思います。どのような治療だったのでしょうか。 井上さん:半年くらい入院しました。プレドニンという、血中の白血球だけが死滅していく薬なのですが、それを使って限りなく白血球をゼロに近い状態に落として、戻すというのを3回繰り返すことで、がん化した白血球を死滅させるという治療でした。 髪の毛は全部抜け落ちましたが、それよりも肝臓や腎臓に負担がかかることが怖かったです。持ちこたえてくれないと治療に耐えられなくなるので。かわいかったお顔がムーンフェイスと言ってパンパンに腫れました。薬をやめたら戻るんだとわかっていながらも見ているのはつらかったですね。その治療に対して娘は優等生で、先生が計画していた理想通りの効果がありました。
白血病は脊髄の中に潜んでいて、治ったと見せかけてまた出てくる。そのため、脊髄を直接抗がん剤で洗うという治療もやりました。娘は5回中の2回目で自律神経に影響が出てしまい、「目がクルクルする」と言い出したんです。それで脳を調べるとモヤができていたので中止することになりました。このまま続けるかやめるかは賭けでしたけど、脳のモヤも次第に戻り、さいわい再発もなく寛解しました。 入院中は娘を置いて仕事に行かないといけません。ずっとつき添ってあげられなかったことがつらかったですし、娘にもかわいそうな思いをさせました。娘は4人部屋だったんですけど、みんな大変な病気を抱えて頑張っていて、私が病室に行くと「ゆーゆママーっ!」と喜んでくれて。外に出られない子たちにとってDVDで観るトトロは人気で『さんぽ』を歌うと本当にうれしそうに聴いてくれて、笑顔をもらいました。そんなみんなに、私のほうこそ力をもらいましたね。