「どうして私だけがこんな思いを…」夫を亡くした女性の怒り。専門家と考える<大切な人の死>との向き合い方
◆亡き人に対しての怒り ときには、自分を遺して先に逝った亡き人に対しても怒りが向けられることがあります。 先ほどの60代の女性は、「夫は先に逝ってしまって私はこんなに苦しい。『死んだもん勝ち』っていう言葉がありますが、本当にそのとおり。私が先に死んでしまいたかった。ずるいですよね……。あまり人には言えないことですが……」と少し早口で語ってくれました。 怒りの感情は、心の中に長く留めていると、知らず知らずのうちに健康を損ねてしまうこともあります。 怒りの感情はおさえこんでしまいがちですが、自分が怒っていることや、何に腹を立てているかを周囲に伝えることは間違ったことではありません。 あなたの感じるままにあることが、まずは大事なのです。 そのうえで、怒りを自分なりにコントロールできるように、怒りの気持ちをだれかに聞いてもらったり、気晴らしをしたりするといいでしょう。
◆怒りに対処する方法 深呼吸をすることも、怒りに対処する方法の一つです。 深呼吸には副交感神経を高め、心身をリラックスさせる働きがあり、呼吸に集中することで、怒りから気を逸らすこともできるといいます。 加えて、許される範囲で、大声をあげたり、物を投げたり、クッションを叩いたりするなど、怒りを体で表現することもいいといわれています。 ※本稿は、『もう会えない人を思う夜に 大切な人と死別したあなたに伝えたいグリーフケア28のこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
坂口幸弘,赤田ちづる