重要な政策論争置き去り 「政治とカネ」で非難過熱 経済、社会保障、外交どうなる?
27日に投開票される衆院選は、自民党の派閥パーティー収入不記載事件を受けて「政治とカネ」の問題を巡る議論が先行した。政権選択選挙であることを踏まえれば、本来は経済政策や持続可能な社会保障、外交・安全保障など日本の未来に関わる論争が柱となるべきだが、置き去りにされたとの声もある。各党幹部の街頭演説を中心に選挙戦の訴えを振り返る。 【表でみる】夕刊フジが作成した「落選危機にある大物・著名候補21人のリスト」 政治改革が衆院選の争点に浮上した後、選挙戦中に、自民党本部から非公認候補が代表を務める政党支部への2千万円支給が表面化し、野党各党は追及のトーンをさらに強めた。 世論の逆風にさらされた石破茂首相(自民総裁)は守勢に回った。街頭演説で不記載事件について「許されることではなく、うやむやにしていいことでもない。再発防止のために、まっとうな政治をつくるために全力を尽くす」と強調した。 関西の自民候補は26日の演説中に「有権者から『政治とカネの問題は分かるが、もっと大事なことがあるのでは』といわれた。その指摘は正しいと思う」とじくじたる思いを吐露した。 ただ、各党が政治改革ばかりを訴えているわけではない。重視するのが、国民生活に直結する経済政策だ。 公示日の15日、大阪市内で自民の小泉進次郎選対委員長は「危機感を持って大胆かつ規模の大きい経済対策を行う」と述べ、物価高対策や賃上げなどに取り組む考えを示した。 公明党は物価高対策として、給付金支給などを重点施策に位置付ける。山口那津男前代表は26日、大阪市内で「中小企業の立場に立って、賃上げの分を含めた価格転嫁を進めてきた」と実績をアピールした。 立憲民主党の枝野幸男最高顧問は19日、堺市内で「小さな政府や自己責任(論)から脱却し、力を発揮したくてもできない人を支え、人を育てて力を発揮させることが必要だ」と訴えた。 国民民主党は一定の年収を超えると所得税などの負担が発生する「年収の壁」を重視。負担発生の基準額を計178万円に引き上げ、手取りを増やす独自政策を唱えた。 日本維新の会は、経済的な希望の象徴として、2025年大阪・関西万博を挙げている。吉村洋文共同代表は「新しい経済、新しい未来をつくっていく。そのきっかけが万博だ」とする。これに対し、立民の辻元清美代表代行は20日、大阪府高槻市内で「万博・カジノで税金を湯水のように使っている」と批判した。