【調査】スマホの返却プログラム、新規制の実態は。iPhoneは「月1円」しぶとく存続、Androidは軒並み値上げで差激しく
なぜiPhoneとAndroidで差がある?
なぜ、端末ごとで差異が見られたかについてだが、やはり中古市場での価値の違いが最も影響していると推察される。 元来、日本市場ではiPhone人気が高いことから、中古iPhoneの需要も根強く、買取価格が比較的高水準で推移する傾向にある。そのため、先の「買取予想価格」も高めに設定されており、結果としてキャリア側が返却プログラムで指定していた買取価格との差異も大きな開きがなく、影響を抑えられた格好になった。 対してAndroid端末は中古需要がiPhoneほど高くないため、発売後の価格下落が相対的に大きいことで知られている。つまり、同団体が指定する中古買取予想価格も低く設定せざるを得ず、キャリア側の買取価格との大きな乖離が見られたことで、新ガイドラインの施行を機に値上がりが確認されたこととなった。
中古市場活性化の狙いも
そもそも今回の規制は、通信キャリアによる過度に高額な買い取り価格設定が問題視されたことが背景にあるが、結果としては中古市場の業界団体の意向を強く反映した改定内容とも受け取れる。 先にある「買取予想価格」を指定する一般社団法人リユースモバイルジャパンは「ゲオ」「ソフマップ」「ブックオフ」「イオシス」「インバース」などの古物商大手が構成会員となっており、総務省もオブザーバーとして参画するなど関わりが深い。より実態に即した価格設定により、会員企業が求めていた「中古市場の活性化」を念頭に置いた環境整備が整うこととなった。 一方、末端の消費者にとっては前述の通り概ねの値上げとなっており、一概に優れた施策とは言い切れないのも現状。特に高価格帯のAndroid端末の購入はより慎重な検討を要するものとなりそうだ。なお、新ガイドラインではこの他にも「最終調達から3年以上経過した端末は値引き規制の規象外」となる変更も盛り込まれており、これらを含めた新たな商戦が展開される可能性も出てきている。
編集部 IT/デジタル担当