年収はそのままで「社会保険料」だけ削減!?…手取りの給与額を増やす“節税テクニック”【税理士・公認会計士が伝授】
必見!社会保険料を削減する「5つ」の方法
――それでは早速、中小企業が社会保険料を削減する方法を教えてください! 1.「退職金」の活用 黒「はい。1つ目は退職金の活用です」 ――退職金がなぜ社会保険料削減につながるんですか? 黒「社会保険料の対象になるのは、給与、賞与、手当などですが、退職金は対象外です。つまり、退職金には社会保険料がかからないので、これを活用します。 具体的には、『賞与の一部を削減して退職金に上乗せする』という方法があります。ボーナスの一部を減らして、その分退職金の原資として積み立てすれば、社会保険料を削減することができます。 また、別の方法として、『毎月の給与のなかから少しずつ減らして、退職金に上乗せする』というものもあります。たとえば、給与のうち2~3万円を退職金の積み立てに回すことで標準報酬月額の等級が下がれば、社会保険料を削減することができるのです」 ――なるほど。理屈はわかりますが、従業員側としては手取りが減るし、不満が出ませんか? 黒「退職金への課税は、分離課税・退職所得控除・2分の1課税が適用になることで、給与・賞与で受け取るより手残りが多くなります。長い目で考えるとトクになることをきちんと説明し、理解してもらう必要がありますね」 2.「協会けんぽ」から「組合健保」に切り替える 黒「2つ目は、国が運営している『協会けんぽ』から、業界団体などが運営している組合管掌(かんしょう)健康保険、通称『組合健保」に切り替える』という方法です」 ――実は僕の会社でも以前、「協会けんぽ」から「関東ITソフトウェア健康保険組合」(通称:IT健保)に切り替えたんですよね。 黒「そうなんですね! [図表1]のとおり、協会けんぽの場合、一般保険料率は事業主・被保険者ともに1,000分の50ですが、IT健保のほうは1,000分の42.5です。トータルでは10%以上負担が減ります。 具体的な数字をあげると、たとえば、 ・被保険者20人 ・平均の標準報酬月額38万円 ・賞与等が7月支給分38万円、12月支給分38万円 という事業所の場合、[図表2]のようになります。 全体では、協会けんぽに比べて、年間159万6,000円お得になります」 ――個人1人ひとりで見ても4万円も負担が減るんですよね。弊社も加入して8年ぐらいになりますから、1,000万円ぐらい得しているのではないでしょうか。