杉良太郎さん「売名と言われてもやるべきことを」北陸支援の流儀…過去に美智子様から「筋金入りのお方」とお言葉も
2024年2月26日、地震で被災した島の漁港で炊き出しが行われました。湯気の向こうには時代劇スター、杉良太郎さんの姿。福祉家として知られる杉さんは「いまさら炊き出しなんて時代遅れ。だけど、地元の人たちを元気づけることができれば」と、温かなうどんを振る舞います。
売名と言われても「やるべきことをやるだけ」
石川県七尾市能登島の鰀目(えのめ)漁港。地震で道路が寸断され、一時は孤立状態となった島の漁港の一角で、うどんや焼きそばの炊き出しがありました。チームを率いているのは、歌手で俳優の杉良太郎さん。 「できるだけ支援が届きにくい地域に」と、杉さんが以前演じた「遠山の金さん」さながら、島の東端の現場まで自ら足を運び、炊き出しの合間には地元の人の話を聞いたり、写真に収まったり、しばし交流の時間をもちました。 <写真>黒毛和牛をたっぷりと使った肉うどん。
杉さんの支援・福祉活動は、皇后陛下時代の美智子様から「筋金入りのお方」とお言葉を賜ったほど。海外での活動のほか、国内でも阪神・淡路大震災、東日本大震災の支援などを積極的に行ってきました。時に「売名」「偽善」と揶揄する言葉が投げかけられたこともありましたが、“偽善”のために数十億にも上る私財を投じられるはずはありません。 「やるべきだと思うことから目を背けていると、自分が自分ではいられなくなる。それじゃ人間として生まれた甲斐がない」。そんな使命感に突き動かされるように、今回も行動を起こしたといいます。 <写真>寒風が吹きつける2月、能登半島地震で被災した能登島で、杉さんは妻の伍代夏子さんやパフォーマーの「佐藤三兄弟」をはじめとするチームで炊き出しを行った。
「水や重機を持ち込む計画を立てましたが、刻一刻と現場の様子が変わり断念。『来てくれるだけでいい』との地元の方の声で、結局また炊き出しと支援物資の持ち込みになってしまった。 でも、こうしたなかで話を聞くことも大事だと気づいたんです。抱えている不安や悲しみを少しでも私に吐き出してくれたらいい。亡くなった私の母親は阪神・淡路大震災で家を失って精神的に沈んでしまったんですが、能登の方も『頑張る』っておっしゃるけれど、たくさんのものを失ったんだから辛くて当然。これからは、物資より精神的なケアが必要なのかもしれません」 <写真>メニューは「あったかくておいしくて、喜んでもらえるもの」をと考えたという、スープ付きの焼きそば。