杉良太郎さん「売名と言われてもやるべきことを」北陸支援の流儀…過去に美智子様から「筋金入りのお方」とお言葉も
「震災前より豊かな場所にしなくては。高齢の方が元気なうちに、もう一度、美しい故郷を見せてあげたいと願っています」
2024年1月の金沢の1.5次避難所での炊き出しでは、高齢の男性が杉さんと話しているうちに思わず涙する場面も。ここ能登島でも、民宿をやめてしまおうという女性に「いいところなのに、なくしてしまうのは惜しい。落ち着いたら、みんなの力を借りてゆっくり考えて」と伝えたそうです。それは“震災前よりよくなった未来”を見据えた杉さんなりの提案でした。 <写真>2024年1月にも3日間にわたり、炊き出しを行っている。
「能登の方たちは結束力が非常に強い。助け合って自力で復興しています。けれど、サポートがあればもっとうまくいく。ただ、日本の災害時のシステムはまだまだ脆弱だと感じます…助けられた命が助けられなかったり、行方不明者がいまだにいたりする事態は、もう絶対になくなってほしい。炊き出しも昔の時代のことになればいいんです。このことは政府に提案していきたい」。そんな杉さんの言葉や活動は、能登への力強い応援歌になっているに違いありません。 すぎりょうたろう●1944年兵庫県生まれ。65年歌手デビュー。67年NHK「文五捕物絵図」の主演で脚光を浴び、以降「遠山の金さん」など1400本以上の時代劇で主演を務めた。福祉活動の原点は、15歳のとき、刑務所への慰問で涙して喜んでくれた人たちと出会ったこと。ベトナムの孤児を里子にしたり、バングラデシュで学校を造ったり、長年にわたり、国内外で福祉活動に打ち込んでいる。 写真=湯浅 啓 編集・文=須田秀子(婦人画報編集部)