【箱根駅伝】中央学院大3年生エース吉田礼志 “試練の連続”を力に変えて「シード権をとってみんなで笑顔で終わりたい」
2年ぶり23回目の出場を決めた中央学院大学。前回大会は予選会で12位とつまずき、本選への出場権を逃していました。チームの柱となるのは3年生エースの吉田礼志選手。第100回箱根駅伝に挑む吉田選手には並々ならぬ思いがありました。 【画像】中央学院大学チームエントリー発表
■エースに待っていた試練の連続
涙をのんだ第99回箱根駅伝予選会。当時2年生の吉田選手には、大きくタイムを稼ぐ役割が期待されていましたが、個人68位と伸び悩み、チームは12位で本選出場を逃しました。吉田選手は「練習通りに走っていれば予選会を通っていた。“自分の失敗”でみんなを箱根駅伝に連れて行くことができずに終わってしまって、自分はあまり顔に出さないですけど、すごく悔しくて・・・」と当時を振り返ります。 悔しさは力に変わり、今年3月に行われた学生ハーフマラソンで、吉田選手は本領発揮。レース途中で靴ひもがほどけるアクシデントがありながらも、強力な選手が集うレースで2位。本来の実力を見せつけ、復活を予感させました。
しかし6月の全日本大学駅伝関東選考会で、またも悲劇が起こります。吉田選手は、脱水症状のためフラフラになりながらフィニッシュ。しかし、レース中にトラックの内側に侵入したことで失格。チームも、全日本大学駅伝への出場権を逃しました。 吉田選手は「先輩たちをラストの伊勢路に連れて行けなかった責任があった中で、4年生に励ましてもらった。次は箱根駅伝の予選会で“自分がやらないといけない”という気持ちが強くなりました」と予選会でのリベンジを決意します。
■運命の予選会は主将のある言葉が力に 挑むはエース集う花の2区
すべての責任を背負う気持ちで挑んだ第100回箱根駅伝予選会。レース直前の吉田選手は、表情が硬い様子。そんな後輩をみた4年生・駅伝主将の飯塚達也選手から声が飛びます。
「靴ひも結んだ?靴ひも結んだね。結んだね、礼志くん。水飲んだね?脱水にならないね。大丈夫だね」 キャプテンの冗談交じりのエールに、吉田選手は思わず笑顔。すると、箱根路復活をかけた運命のレースでは、日本選手で唯一、外国人選手が占める先頭集団に食らいつき、見事に日本選手の中で全体2位の快走。エースの責任を果たし、中央学院大学は総合9位で第100回大会の出場権を獲得しました。 2年ぶりとなる箱根路へ向けて、11月の千葉・富津合宿を取材。チームを率いる川崎勇二監督いわく、チームの課題は後半の追い上げ。この日の練習は、5キロ3本、残り2キロからペースを上げて、課題の克服に励みます。エース吉田選手は、順調な仕上がりのようです。 吉田選手の出走は、エース集う“花の2区”が有力。「他の大学のエースが集まる区間ですけれど、箱根駅伝本選でも強気に走って、びびらずにいきたい。シード権をとれなかったら自分は何の意味もないと思っているので、シード権をとってみんなで笑顔で終わりたいです」と決意。 失敗を励ましてくれた4年生を笑顔で送り出すために、失敗を力に変えた吉田選手が力強い走りでタスキをつなぎます。