1株あたりのビットコイン保有量の最大化──新たな企業戦略
ビットコイン(BTC)は上場企業の重要な財務資産として浮上しており、マイクロストラテジー(MicroStrategy)が2020年8月にビットコインを企業財務に組み込むと決定し、株価が800%を超える上昇を見せたことによって、この傾向は促進された。BitcoinTreasuries.netによると、上場企業は約35万4316ビットコインを保有し、これは総供給量2100万枚の約1.69%に相当する。 この動きは他の企業を触発し、いくつかの企業は投資対象を分散させてインフレ圧力から身を守るためにビットコインを採用した。そのなかでも注目すべきは、メタプラネット(Metaplanet)、セムラー・サイエンティフィック(Semler Scientific)、そして最近ではカテドラ・ビットコイン(Cathedra Bitcoin)だ。 カナダのTSXベンチャー取引所に上場しているカテドラ・ビットコインは、ビットコインのマイニング(採掘)のみに重点を置くことから、データセンターの開発と運営へと戦略的転換を行った。この変更は、ビットコインの半減期により、マイニング業界がますます大きくなる困難に直面するなかで行われた。ビットコインのマイニング収益を追跡するハッシュレート・インデックスは43ペタハッシュ/秒(PH/s)と比較的低く、過去最低は36PH/sであり、2024年に多くのパブリックマイナーたちを苦戦させている。 カテドラ・ビットコインの目標は現在、マイニングから離れてより持続可能なキャッシュフローを生み出すことによって、1株あたりのビットコイン保有量を最大化することだ。このピボットは、同社がより多くのビットコインを継続的に取得することを可能にし、コストのかかる運営事業ではなくビットコイン保有量の長期的な増加に集中できる。 「今後、株主の1株あたりのビットコイン保有量を最大化することを目的にすべての資本配分の決定を行う」とカテドラ・ビットコインは述べた。 同様にビットコイン財務分野で積極的なのが、サイモン・ゲロヴィッチ(Simon Gerovich)CEOが率いるメタプラネットだ。カテドラ・ビットコインのように、メタプラネットもビットコイン保有量の増加を優先している。ゲロヴィッチ氏は、保有量を毎月増やすという同社の目標を強調しており、この戦略は大きな利益をもたらしている。同社の戦略的アプローチに対する市場の好意的な反応を反映し、株価は年初から587%上昇した。 マイクロストラテジーはビットコイン財務分野のパイオニアで、最も重要な参入企業だ。マイケル・セイラー(Michael Saylor)氏の指導のもと、同社は革新とビットコインの採用の拡大を続けている。9月18日、同社は転換社債の発行額を8億7500万ドル(約1243億円、1ドル142円換算)にすることを発表し、当初の7億ドル(約994億円)から増額した。 利率は0.625%で、満期は2028年。調達資金は、6.125%という高金利の担保付きシニア債5億ドル(約710億円)を元本の103.063%の償還価格で償還するために使用され、これにより同社の利払いが減少する。残りの資金はビットコインの購入に充てられる。この募集には、初期購入者が追加で最大1億3500万ドル(約192億円)の社債を購入できるオプションも含まれている。 マイクロストラテジーは最近のSECへの提出書類「8-K」で、「ビットコイン利回り」と呼ばれる革新的な概念を発表した。これは、クラスA株とクラスB株の両方を含む同社の想定希薄化後発行済み株式数に対する、ビットコイン保有量の割合の変化を測定するものだ。1月1日から9月12日までの同社のビットコイン利回りは17%で、四半期累計では4.4%となっている。 MSTR-trackerによると、マイクロストラテジーの1株あたりのビットコイン比率は現在、約0.0012。この指標は、長期的な株主がビットコインの保有により価値の増加を経験していることを示唆する。 |翻訳・編集:廣瀬優香|画像:wir_sind_klein/Pixabay|原文:Maximizing Bitcoin per Share: A New Corporate Strategy
CoinDesk Japan 編集部