親は子に、上司は部下に絶対してはいけない“否定“。相手の本能に届き信頼関係を築ける簡単でポジティブな言葉を
子どもの潜在能力を発揮するには親はどうすればいいのだろうか。子どもにも秘めている才能があり、工夫次第で進化できるのであれば親はそうしたいだろう。 【画像】どうすれば子どもの潜在能力を引き出せる?林成之さんの著書『運を強くする潜在能力の鍛え方』 そこで大事にしたい言葉もやはり、「そうだね」だ。 脳神経外科医・スポーツ脳科学者の林成之さんは子どもの「育脳」のボランティアも経験している。 著書『運を強くする潜在能力の鍛え方』(致知出版社)から子供の潜在能力の引き出し方を一部抜粋・再編集して紹介する。
子どもも大人も脳のつくりは変わらない
子どもの「育脳」を分担・指導していた私の経験から、潜在能力が出やすい脳のつくり方についてお話ししていきたいと思います。 まず大事なのは言葉です。子どもの育脳指導をするときは、「そうだね」という言葉を合言葉にしようとみんなで言っていました。 子どもも大人も基本的に脳のつくりは変わりませんから、「そうだね」という言葉によってお互いを認め合い、尊敬し合う関係を構築することができます。そして、そういう関係ができると、お互いの言葉が相手の脳に入りやすくなるのです。 学校の先生は「ああしろ、こうしろ」と子どもに注意をします。しかし、それによって子どもが先生を嫌いになったら、いくら教えても身につきません。 私にも経験がありますが、嫌いな先生の教える科目は頭に入ってきません。私も全然覚えられなくて、その先生の科目は後で本を読めばいいやと思っていました。したがって、先生は子どもを否定しないように気をつけなくてはいけません。
「そうだね」でみんな仲間に
「そうだね」という言葉を使うと、みんな仲間になれるのです。だから、子どもたちが何か言ってきたら「だめ」とは言わないで、「そうだね」と言ってから、「でも先生の考えはちょっと違うんだよ」というような喋り方をしなさいと私は先生たちに教えています。 まず「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」という本能に訴えかける言葉を使って相手を認めてあげることが大事です。 「そうだね、なるほど、君は凄いね」と褒めてあげて、その後でポイントを討論すればいいのです。相手を認めてあげれば、相手にもこちらの言葉に耳を傾ける姿勢が整います。 これは家庭でも会社でも同じことです。親は子どもを否定してはいけませんし、上司は部下を否定してはいけないのです。 ついでに言えば、部下の立場からすると、上司に嫌われないようにするためには、まず「わかりました」「なるほど」「そうですね」と肯定すればいいのです。そうすると、上司は部下が自分のことを理解していると判断します。上司にかわいがられると出世率が全く違ってきます。 この原理を知らないまま、「そうですか?」「それは違うのでは?」などと否定的な返答をすると、上司は面白くありません。当然、部下に対する見方もネガティブになってしまいます。これは脳科学的な一つの現象です。 意識的にポジティブな言葉を口にする、否定語は決して使わないというのには、そういう理由があるのです。