「政治とカネ」政倫審再開の“舞台裏” 旧安倍派幹部が自民党執行部と交わした“3つの条件”とは
少数与党ゆえの国会運営が続く石破政権。臨時国会の会期末が迫る中、10月の衆院選敗北の大きな要因となった自民党派閥のパーティ収入不記載、いわゆる裏金問題は、新たな動きがあった。衆参合わせて19人の議員が政治倫理審査会に出席したのだ。その経緯を独自取材した専門家は、党執行部と旧安倍派の間で激しいやり取りがあり、“3つの条件”で合意したと指摘する。信頼回復の道は切り開かれるのか。 【画像】政倫審に出席した衆院議員
1)衆参19人が政倫審に…“舞台裏”久江雅彦氏が独自取材
衆院政倫審に出席したのは、旧安倍派から萩生田元政調会長ら13人、旧二階派から平沢元復興大臣ら2人で、計15人。12月17日~19日の3日間をかけての開催で、全員、全面公開だった。 また、参院政倫審は、公開を希望あるいは容認とした4人を対象に、18日に開催された。旧安倍派では、さらに23人の参院議員が政倫審出席の意向を示したものの、非公開を希望。強い反発を受けたものの、22人が議員の傍聴を認めるにとどまっており、日程は決まっていない。 久江雅彦氏(共同通信特別編集委員)の独自取材によれば、衆院政倫審の開催決定にあたっては、自民党執行部と旧安倍派の間で激しいやり取りがあった。ポイントとなったのは、衆院選からおよそ2週間後、石破総理が「個人の判断になるが、説明責任を果たすため政倫審の場を含め、あらゆる場を積極的に活用されることを期待する」と発言したことだったという。 選挙が終わっての石破氏のこの発言は、いわゆる旧安倍派からみれば、選挙の敗北・大敗を我々の責任にしている。「裏金を全部返せ」とか、「政倫審に出ろ」とか石破氏や自民党執行部は旧安倍派のせいにして延長戦をいつまでもやるつもりだ、と。逆に石破氏や森山幹事長から見れば、選挙で過半数が取れなかったのは、もともとは旧安倍派を中心とする、いわゆる裏金問題が影響したのだ、ということで、衆院選敗北のそもそもの風景が、どの窓から見るかによって違っている。 この発言を受けた後に、11月の終わり頃から参議院の国対委員長の石井準一氏が「来年、参議院選挙もあるし、いわゆる旧安倍派の議員も政倫審でしっかりとけじめつけた方がいい」と、まず参議院が動き始めた。その際、参議院が動き出すのに、我々が何もやらず、いつまでも「逃げている」と捉えられるのも心外だと。こういう声になってきて、キックオフが12月5日朝。議員会館の森山氏の事務所で萩生田氏と森山氏が会談し、政倫審でやっていく方向で、となった。 ほぼ連日のように、政倫審の与野党の国対委員長の間で、何人出るのか、公開なのか非公開なのか、など話し合いが行われていた。最終的に12月10日、いわゆる旧安倍派の大方の議員が集まった時に、ただ出るのではなくて、出るのだったら堂々と公開の場に出るということになった。