「政治とカネ」政倫審再開の“舞台裏” 旧安倍派幹部が自民党執行部と交わした“3つの条件”とは
2)旧安倍派 衆院政倫審“出席”で“3つの条件”
旧安倍派15人が衆院政倫審に全員、公開での出席を決める際、久江雅彦氏(共同通信特別編集委員)は、旧安倍派と自民党執行部の間では“3つの条件”で合意したと指摘する。 この問題をいつまでも執行部が引きずって、何かあるたびに我々の責任だと言われるのはかなわない、もう蒸し返さないで欲しいということで、森山氏と萩生田氏の間で、署名はしていないものの、“3つの条件”で合意をした。その“3つの条件”というのは ・一つ目は『衆院の政倫審を年内に終わらせること』 ・もう一つは『不記載の問題に関し、今後野党からの各種の要求に賛同・協力しない』 つまり野党が何を言ってきても、「政倫審またやれ」と言われてもやらないよ、と。参考人あるいは証人喚問も含めて、もうこの問題はこれでけじめをつけるのだ、と。 ・もう一つは『速やかな人事正常化』 これは、「含む落選議員」だ。まず現職議員は今、各委員会の理事などから外れている。来年の通常国会に向けて、理事のポストにもつけていく。落選議員たちは、いわゆる各自民党の地域の支部長から外れた形で空白になっている。ここもしっかりと支部長に戻してください、と。 つまり、安倍派としては、政倫審に出ることによってこの問題に完全に区切りをつけたいという話をした。もともと、この問題が出た時に、当時総務会長だった森山氏に萩生田氏が「政倫審に出たい」と言ったが、事務総長クラスが出ればいいと言われ、不満があったらしい。中堅若手では、「説明を」と言っても幹部がずっと説明をしなかったので、自分たちは説明をしたいという意思を強く持っている人が結構多い。12月12日に正式に政倫審開催が決まって、この3つの手形を落とすというか、担保を取るために、森山幹事長はこれを受け入れることになった。森山氏と石破氏も連絡を取り合っていて、石破氏もこれを「了」としている。 世の中の見方、野党の見方はまた別の角度があろうが、旧安倍派と石破総理、あるいは自民党執行部の間においては、今回、政倫審を開くことによって、今後はこの問題を蒸し返さないという、口頭の取り交わしがある。野党は世論を背にして参院選に向けてずっと裏金問題を追及し続けていくかもしれないが、自民党の中においては、こういう収め方をしたというのが私の取材だ。