<中国の侵攻を撃退できるか>台湾がウクライナから学んだ防衛戦略、「トランプでも米台関係は盤石」
それに備えるために台湾と同盟国は、防衛能力や、ロシアのやったような侵略を中国がするのを防ぐ外交的了解を創設・強化する必要がある、と兪代表は述べた。習近平に毎朝起きるたびに鏡を見て「今日はその日ではない」と確実に言わしめる必要がある、と兪代表は結論付けた。 * * *
兪新代表の経歴と着任後の動き
前駐米台北経済文化代表処所長の蕭美琴は、民進党の頼清徳新総統の副総統候補となりワシントンを去った。彼女は陳水扁元総統に見いだされ民進党内で頭角を現した人物だ。 蕭美琴は高校から母の祖国米国で学び、大学も米国。最終的にはコロンビア大学で修士を取得しており、英語・台湾語・中国語の全てがネイティブで、知米派と言って差し支えないだろう。在任中のワシントンでの人気は大変なものだった。 一方、その後任として着任した兪大㵢は、元外交部次官のたたき上げの外交官だ。次官の後に駐欧州連合(EU)・ベルギー代表となり、昨年12月初旬にワシントンに着任。彼がEUと人脈を有するのは意味があるだろう。 万一の台湾有事の場合には、欧州の支援を得ることの重要性を、米国に対して説得力を持って語れるであろうし、特に、トランプが大統領になれば米欧関係に一定の亀裂が生じることが予想され、その際台湾を巡って米欧の橋渡しの役割が必要になることも想定されるからだ。 兪新代表は、早速活発に動いている。 1月9日には、ジョンソン米下院議長を表敬訪問し台湾側はそれを翌10日に発表した。おそらく代表処所長が下院議長に面会するのは初めてであろうし(ジョンソン・兪は初対面)、それを敢えて対外的に発表するのも異例だ。 当然中国は反発し、外交部の毛寧報道官は記者団に対し「(米国の議員は)台湾の分離独立派に間違ったシグナルを送るのをやめ、いかなる形でも台湾地域の選挙に介入すべきではない」と述べた由だ。 兪新代表は、また、5月21日には、日本メディアを含む幾つかのメディアの取材に応じ、「11月の米大統領選挙でどの候補が勝利しても、台湾と米国の関係は盤石だ」という重要なメッセージを発信している。