「母親にとって自分はゴミ以下なのかな」 36歳の引きこもり男 母子2人暮らしの自宅に火をつけたあの日
(弁護士)「これからはお母さんとどのような関係でありたいと考えていますか?」 (男)「改めて1人で考えて、お互いがお互いを大事だと再認識した。母も私と一緒にいたいと言ってくれたし、私も母と一緒にいたい」 母親から、嗚咽が漏れた。 ■実刑か、執行猶予か…法廷で男は最後に「私と母の願い」を語った 検察側は「身勝手極まりない動機に酌量の余地は皆無で、100人以上が住む集合住宅で深夜に火をつけており、他の住民への迷惑を顧みない危険で悪質な犯行。精神鑑定で精神障害も認められなかった」と指摘して、懲役6年を求刑した。 一方、弁護側は「母親に見捨てられたと思うなど、現実を適切に把握できておらず、何らかの精神障害で判断力が低下していた可能性がある。日常的に不安にさいなまれ、周囲のことを考える余裕があるような心理状態ではなかった」と主張して、保護観察付きの執行猶予判決を求めた。 「最後に述べておきたいことはありますか?」と裁判長に問われると、男は… (男)「まず今回の事件で、市営住宅の住民や近隣住民に不安や恐怖を与えたことを謝罪したい。住宅の所有者である名古屋市などにも多大な損害を与え、改めて謝罪したいです。申し訳ありませんでした」 その後、裁判長に「10分ほど話す時間を欲しい」と前置きした上で、母との今後を語った。 (男)「私が逮捕されてから、もうすぐで1年半になりますけれど、その間毎日、死にたい気持ちもずっとあります。面会に来た母が泣きっぱなしで、見るのもつらく…これ以上…もうこれ以上本当に、このまま行けば母の精神が壊れそうで不安で心配です。寝た時に夢を見ました。服役を終えた後に母を訪ねようとしたけれど、母がいなかった、母が精神的に壊れる夢をたくさん見ました。母と一緒に生活しても引きこもりを解消できなかったり、母に手を出したりしたら、自分から母のところを離れて離縁、絶縁する覚悟です。そうしたら、私は1人で生活する気持ちは全くありません。母の元から離れるということは、自ら命を絶ちます。もしも裁判員、裁判官の皆様が私たち親子を救う思いがあるのなら、弁護側の要求である執行猶予をお願いしたい。これは私のわがままであり、私と母の願いであります。強い罰を求めるのであれば実刑でも良いですが、私たち家族が壊れる可能性がないとは言い切れません。できたらそのことを考えて欲しいです」
【追記】 11月24日、名古屋地裁の大村陽一裁判長は男に懲役5年の判決を言い渡した。
CBCテレビ
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