「母親にとって自分はゴミ以下なのかな」 36歳の引きこもり男 母子2人暮らしの自宅に火をつけたあの日
(母親)「私が彼のしゃくに障ることを言ったのだと思います」 (弁護士)「暴力はあなたが悪いと?」 (母親)「はい、そうとしか思えない。完全に私が彼のかんに障ることを言ったのだと思います」 事件の直前には、精神科があるクリニックに息子を連れて行った。 (母親)「10年こういう(引きこもりの)生活をしていたので、外に出るきっかけとしてカウンセリングを受けられたらと思いました」 (弁護士)「何か病名はつきましたか?」 (母親)「ついていません。病名をつけてほしくて行ったわけじゃありませんから」 男はその後、もう1度そのクリニックに診察を受けに行ったが、帰宅後に母親が「どうだった?」と聞くと「行きたくない」と言ったため、母親は次を勧めることはなかったという。 ■母と息子で食い違う“当日の記憶” 届かないと思い込んだ“SOS” 事件当日は、土曜日だった。普段なら2人で買い物に行く日だったが、その日はいつまで待っても息子から声はかからなかった。 そのうち、息子の部屋からは、すすり泣く声が聞こえてきた。 (母親)「息子は泣いていました。今までそんなことなかったので、息子の部屋に入って声をかけたと思います、『落ち着いて、落ち着いて』って」 (弁護士)「その後はどうしましたか?」 (母親)「部屋にゴミが散乱していたので、『お母さんゴミ片付けるね』と言って掃除をしました。私が寝るまでずっとです」 母親は夕飯も食べずに、息子の部屋を片付け続けた。お菓子の袋やペットボトルなど、ゴミは45リットルのゴミ袋で10袋以上にもなった。しかし、それでも終わらず、息子に「また明日やるね」と声をかけて、母親は眠りについた。 次の記憶は、燃えさかる我が家だった… 男と母親では、事件直前の記憶に食い違う部分もあった。男は「将来が不安になって母親に泣きついたが、母親はその訴えを無視して部屋の片付けを続けた」と供述した。 「母親にとって、自分はゴミ以下なのかな…」
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