JX金属、車載向け銅箔・樹脂複合シールド材市場開拓
JX金属は圧延銅箔と樹脂の複合素材で、電磁波などを遮断できるシールド材の車載向け市場を開拓する。自動車分野ではモーターやインバーターなどを一緒にする機電一体化が進んでいることで、電磁波の干渉を防ぐシールド材のニーズが高まっている。同社は自社開発した複合材を提案し、将来の販売拡大につなげる。 車載用のシールド製品はステンレスやアルミといった金属製が一般的だが、軽量化ニーズの高まりを背景に樹脂製を検討する動きが出ている。一方で樹脂単体だとシールド効果が出ないため、樹脂に金属を混ぜたりめっきをしたりしてシールド効果を高めている。金属を混ぜる場合は隙間から磁界が漏れてシールド性が落ちたり、金属をめっきする場合はめっきの厚みが必要になりコストや時間がかかったりするという難点がある。 そこで同社は銅箔に関する技術を生かした金属に代替するシールド材として、圧延銅箔と樹脂を複合させた製品を開発した。3D成型が可能で、軽量化とシールド性能を両立できる。 特長は低周波から高周波領域の磁界と電界ノイズの両方を同時にシールドすることが可能なこと。また、銅の熱伝導性を生かした高い放熱性も強みだ。 圧延銅箔と樹脂の複合材である「Mighty Shield(マイティシールド)」は放熱性や軽量性などのバランスがよい上、深絞り加工性が優れていることからさまざまな形にプレス加工できる。 「マイティシールド」に磁性材を追加した「ハイブリッドシールド」は低周波数帯で高い磁界シールド効果を持つ。現在は開発段階で、材料の厚みなど内部構成を検討中だ。 「マイティシールド」はすでにドローンの回路部分に採用されており、今後は市場規模が大きい自動車市場への進出を目指している。現在は自動車の2029年モデルの採用に向けて自動車部品メーカーでサンプル評価の段階だ。 量産に向けて「マイティシールド」の販路拡大に努めるとともに、「ハイブリッドシールド」の開発を進めている。同社機能材料事業部営業部の上原正吉副部長は「車載向けシールド材のマーケットは広いので、シェアを1~2%取るだけでもかなりのボリュームになる」と期待を込める。