元東京国税局職員のライターが提言「30代後半でもフリーランスで成功する」方法
まずは転職のためのアクションを起こした
――震災は多くの人の人生に少なからず影響を与えましたが、小林さんもその一人だったわけですね。フリーランスになるために、すぐに行動したのでしょうか? 小林:この時点では、フリーランスを目指そう!とまでは、具体的に考えていません。当初は独立ではなく、転職のためにアクションを起こしたんです。当時、世の中では「働き方や生き方を考え直そう」という風潮がありました。 ――小林さんは、具体的にはどのような動きをしたのでしょうか? 小林:国税局の仕事を続けながら、週末に異業種交流会やビジネスプランを考えるイベントなどに参加して、組織の外との接点を増やしていったんです。おぼろげながら転職を意識して、ビジネススクールにも通うようになりました。 そのスクールのコンセプトは、ビジネスを教わる前に、まず「自分が何をしたいのか」をきちんと考えるというものでした。そのために、過去の自分を振り返って整理するワークショップを行うんです。 そこで、もともと本を読むのが好きで、小説家に憧れていたことを思い起こすのですが、小説家になっている自分がどうしてもイメージできない……。 というのも、僕は大学の奨学金という借金を背負い、妻と子ども2人がいて、住宅ローンも抱えていました。そんな自分が小説家として食べていくのはあまりにも難しいことは、容易に想像がつきました。
感銘を受けた本の著者に感想文を送った
――「書く仕事」という将来像が明らかになったものの、一度は諦めていたわけですね。 小林:はい。自分らしい働き方を模索して、もがいていました。そんな折り、ビジネススクールへ行く途中にある書店に立ち寄ったとき、一冊の本と出会います。 それが『職業、ブックライター。毎月1冊10万字書く私の方法』(上阪徹著・講談社)で、インタビューを行い著者に代わって本を書く「ブックライター」という職業の存在を知りました。 もともと読書が好きで、閉鎖的な国税という組織に長く身を置き、「外の世界に触れたい」と願っていた僕には、非常に魅力的に映ったんです。それと同時に、この仕事なら自分にも合っているかもしれないと思いました。 この本には著者の上阪さんの仕事哲学やライフスタイルも書かれていて、すごく魅かれました。ネットで名前を検索するとFacebookをやられていたので、「著書を読んで感銘を受けました」と感想文を送ったんです。 すると返事が来て、ブックライターになるための準備を少しずつ進めてみては、とご提案をいただきました。さらに、本気でブックライターを目指す人向けのセミナーを始めるという計画もお聞きし、説明会に参加した後に申し込むことにしました。 こうして「上阪徹のブックライター塾」に入ったことで、フリーランスのライターやメディア関係者と知己を得ることができ、塾を卒業する頃には、「すぐにでもライター業を始めたい!」と思っていました。