英雄か否か? 賛否両論巻き起こるシャロン氏の功績
シャロン氏の死をメディアはどう伝えたか?
イスラエル建国以降、歴史的な出来事には高い確率でシャロン氏の名前がありました。多くのイスラエル人が、国家としての生存を主に軍事面で支えてきたシャロン氏に称賛の声を送りますが、手放しで褒めるべきかというジレンマに直面しているようにも思えます。 イスラエル最大の発行部数を誇るイェディオト・アハロノト紙はシャロン氏の功績に対する評価の難しさについて、「シャロン氏にはいくつもの顔があり、複雑な人物像であったことに疑いの余地はない。彼は同等の激しさで国民から愛され、そして憎まれてきたのだ」と括っています。 アラブ世界ではシャロン氏の死去はどう伝えられているのでしょうか?アルジャジーラ(英語版)はシャロン氏死去に関する各国の声を紹介していますが、その多くは厳しい内容です。ハーバード大学の大学院で公共政策を学ぶパレスチナ系アメリカ人学生は、シャロン氏を「イスラエルにアパルトヘイトを導入し、国際社会から孤立させてしまった張本人」と激しく批判。米ワシントンにあるパレスチナ人道支援団体の代表も、シャロン氏を「平和の敵」と糾弾。 エジプトの日刊紙アルミスリ・アルヨウンはさらに厳しく、「イスラエル国内で戦争の英雄として賞賛されるシャロン氏は人種差別政策や戦争犯罪を繰り返した人物であり、ドラキュラやブルドーザーといった名前こそが相応しい」と伝えています。 (文 / ジャーナリスト・仲野博文)