【米大統領選】勝敗のカギ握る「労働者票」日本企業にも余波 “激戦州” ペンシルベニア州を緊急取材
読売テレビ
来週火曜日(11月5日)に行われるアメリカ大統領選挙。番組では、勝敗を左右する激戦州のひとつ、東部ペンシルベニア州を取材しました。両陣営が獲得を狙う「労働者票」その実態は…。 黒木千晶キャスター 「いまトランプ氏が姿を見せました!ネバダでの支持集会にトランプ氏が姿を見せています。会場のボルテージは最高潮に達しています!」 共和党・トランプ氏 「素晴らしい人たちが集まってくれた。ありがとう」 聴衆 「USA!USA!」 大統領への返り咲きを狙う共和党のトランプ氏か… 黒木キャスター 「ネバダ州ラスベガスの近くで行われているハリス氏の集会に来ているんですが、こちらにはジェニファー・ロペスさんが来ています。いま、ジェニファー・ロペスさんに呼ばれて、カマラ・ハリスさんが登場しました!会場はものすごい熱気に包まれています!」 民主党・ハリス氏 「選挙の準備はできていますか?勝利への準備はできていますか?」 女性初の大統領を目指す民主党のハリス氏か。 多くの著名人も応援に駆け付けた注目のアメリカ大統領選挙まで、あと4日。 取材班が向かったのは東部ペンシルベニア州ピッツバーグ。 製鉄工場などで働く労働者が多く暮らす「ラストベルト(さびついた工業地帯)」の中心都市で、その労働者票の行方が、大統領選の勝敗のカギを握るとされています。 黒木キャスター 「ピッツバーグの住宅街に来ました。こちらではそれぞれの住宅の前に、支持している候補の看板を掲げています。このお宅はハリスさんの支持を表明する看板を出していますし、隣のお宅はトランプさんを支持する看板を出しています」 「こちらのお宅もトランプ氏の支持者でしょうか。トランプさんとみられる人形を飾っています」 「車にまでトランプ氏の支持を表明している方もいらっしゃいます。『トランプ氏は国境を守る』『ハリス氏は国境を開く』移民問題について書かれている看板とみられます」 大統領選への関心の高さがうかがえます。 黒木キャスター 「大統領選について聞いてもいいですか?」 女性(トランプ氏支持) 「トランプに投票するのよね?」 男性 「まだ決めてないよ。どっちかというと…ハリスかな。トランプは絶対的な権力が欲しいだけなんだよ」 女性(トランプ氏支持) 「トランプ!彼はこの国にとって最善のことをしてくれるから」 別の女性(ハリス氏支持) 「トランプ支持者はニュースを見ないから話が通じない!」 女性(トランプ氏支持) 「あいつらはうそつきなのよ!」 別の女性(ハリス氏支持) 「普段は仲がいいんですよ。政治への考え方が違うだけ」 “落とせば敗北に直結する”ともいわれる激戦州。両陣営とも日本円で約200億円もの費用をかけて、街中にさまざまな広告を打ち出しています。 さらにトランプ氏は、ペンシルベニア州のマクドナルドを訪問。 トランプ氏 「一度もポテトを触っていないぞ。とても清潔だ」 労働者票獲得のために職業体験でアピールしました。労働者の収入増加につながる政策にも力を入れるとしています。 ピッツバーグにある日本食レストラン。客が従業員に対し、食事代の約1割~2割を支払う「チップ」。このレストランで働くウエイターの最低賃金は日本円にして約400円で、「チップ」は大事な収入の一部となっています。 従業員 「食材やガスの値段は(数年前と比べ)2倍ぐらいになっている気がします。チップの存在はとても大きいです」 チップによる収入にも所得税などの税金が課されていることについて、トランプ氏は… トランプ氏 「チップの課税を廃止する」 するとハリス氏も、トランプ氏の発言に 追従する形で、チップを非課税にすると表明しました。 その狙いについて、アメリカ政治に詳しい専門家は…。 早稲田大学・中林美恵子 教授 「(チップに)税金をかけないということは、サービス業など現場で働いている人たちにとっては大変な朗報です。両陣営が違うことを言っていた時に大きな争点になるので、ハリスさんの“争点つぶし”はある意味、そこで成功したのかな」 労働者票を取り込みたい両陣営の思惑に、日本の企業も巻き込まれています。 黒木キャスター 「近年、業績が低迷していたUSスチールですが、日本製鉄による買収計画が進んでいました。しかし大統領選の影響を受けて、その買収計画もストップしています」 1970年には世界2位の生産量を誇ったUSスチール。現在は世界24位まで衰退しました。USスチールは昨年12月、日本製鉄に約2兆円で売却すると発表。 しかし… 民主党・ハリス氏 「USスチールはアメリカが所有し、アメリカによって運営され続けるべきだ」 ハリス氏らバイデン政権は、国家安全保障などを理由に買収を阻止。 そして、トランプ氏も… 共和党・トランプ氏 「日本がUSスチールを買収したら、私は即座に阻止する。絶対にだ!」 一企業の買収が政治問題化した背景にあるのは、労働組合側の根強い反対論です。「労働者票を奪いたい」という両陣営の思惑が買収に「待った」をかけました。 地元住民 「私もピッツバーグの製鉄所で働いたことがあります。アメリカは従業員を守るために団結する必要があると思います」 製鉄所で働く人 「アメリカの企業のままでいてほしい。ペンシルベニア、特にピッツバーグは鉄鋼の街なので、鉄鋼業が復活するのを見てみたい」 約120年続くUSスチール。その歴史に詳しいロン・ベラフさんは… 歴史家 ロン・ベラフさん 「この高炉から生産される鉄が20世紀のアメリカを作ったんです。地元で知名度のある企業が買収されるのは、とても心配なことで、突然、外から来たものに乗っ取られると感じてしまう。政治家にとっては“票集め”ができる話題なんだと思います」 共和党・トランプ氏 「我々の活動は、かつてなく強く、誇り高く、さらに団結しており、これまでになく勝利に近づいている。アメリカを再び偉大な国にする!」 トランプ氏か… 民主党・ハリス氏 「この国は貴重で、つかの間の機会を得た。私はすべてのアメリカ人のための大統領になることを約束する。信じてください」 ハリス氏か… その勝敗の先にある日本の未来は… 早稲田大学・中林美恵子教授 「実はハリスさんは予備選挙を戦っていませんよね。国際的な見地からしても彼女が本当のところはどんな人なのか、いまひとつわからないんです。特に外交・安全保障ではやはり彼女は試されていません。そこがかなりの不安材料になってくるんじゃないかなと」 トランプ氏が再選した場合、安全保障の要職を担うとされるエルブリッジ・コルビー氏は… トランプ政権の元高官 エルブリッジ・コルビー氏 「まず言いたいのは、石破首相が日米同盟を、より平等な関係にすることに関心をもっていることを歓迎します。全く正しいスタンスです。そういった国がアメリカにとって必要な同盟国です。アメリカの軍事力や工業力はすべての脅威に同時に対応できる能力はありません。日本とアメリカはともに考えるべきです。日米関係はビジネスと似ています。ビジネスパートナーなんです」