「消防団員」として地域を守る男性...震災で弟2人を亡くした過去 災害時に活躍する消防団の存在を次世代に知ってもらい「思いと記憶」を引き継ぐ 阪神・淡路大震災
当時も消防団員だった73歳の男性『大変というよりも無我夢中で』
消防団とは、普段は仕事をしながらボランティアとして防災のパトロールなどを行い、災害などが発生した際に消火や救助活動を行う団体のこと。柴田さんも飲食店の経営をしながら消防団の活動を続けています。阪神・淡路大震災でも、道路が壊れて消防がなかなか現場に駆け付けられない状況の中、地元の消防団が活躍しました。 震災当時も消防団員だった高橋利明さん(73)。各地で火事が発生する中、逃げ遅れがいないか地域を走り回ったといいます。 (高橋利明さん)「近所はだいたいわかりますから、私がおったはずやって思ったらそこに声をかけて、みんなに声をかけて。でも、避難しているかどうかもわかりませんので、近所の人に聞いてっていう形ですね。大変というよりも無我夢中で自分でも何をしているかわからないような感じ。目の前のことしかできなかったですからね」 震災から29年。日ごろから地域の人との交流がある消防団だからこそできることがあると柴田さんは言います。 (柴田大輔さん)「僕らも地域に住んでいるし、誰が住んでいるかっていうのを近所でわかりやすいので、安否確認がしやすい。火災現場に行って消防署員に誰が住んでいるとかそういうのを言えるので」
減少傾向の消防団員…存在を知ってもらうため語り部活動をする柴田さん
しかし全国の消防団員は年々減少しています。高齢化と若者不足が原因で、1965年には130万人以上いた消防団員は今では78万人に。柴田さんが所属する消防団でも最年少が36歳の柴田さんとなり、団員数も最も多かった18人から今年は10人ほどにまで減ってしまう予定です。 (柴田大輔さん)「消防団そもそもがあまり知られていないから、消防団って何や?っていうのが基本多いと思うので。地域の人に声をかけて、消防団に入ってもらえますかって声かけをして、持続させないと」 多くの人に消防団の存在を知ってもらいたい。柴田さんは小中学校などでも語り部活動をしています。 (語り部活動をする柴田さん)「いま現状で僕は長田消防団の第8分団の分団長をやっております。日頃から訓練をしていて、なぜこういう訓練をするかというと、最近よく言われているのは南海トラフ地震ですね。僕が一番教えたいのは、皆さんに覚えていただきたいのは、人と人のつながりを持つ。一言で良いんですよ、おはようございますって。それだけでも全然構いません。そうしたら顔を覚えるでしょ。それが災害の時に役に立ちます」 人とのつながりが災害時にも活きてくる。若い世代に知ってもらいたい大切なことだと考えています。