「Ciscoは新しくなった」--日本APACトップが語るAI時代のプラットフォーム戦略
CiscoのAIインフラ「Hyperfabric」と「AI PODs」 同社が今回のイベントで発表した新製品が「Wi-Fi 7」のアクセスポイントだ。単にWi-Fi 7の機能を提供するだけでなく、「Cisco Spaces」の統合によるインテリジェンス機能、統合ライセンスなどの特徴を持つ。 クアッド無線、Bluetooth LE 6.0、UWB(Ultra Wide Band)、GPSなどに対応し、屋内ロケーションサービスを利用したインドアナビゲーション、混雑具合の分析、省電力といったCisco Spacesの機能を活用できる。製品を紹介したネットワーキングエンジニアリング担当シニアバイスプレジデント Will Eatherton氏は、「新しいハードウェアだけではない。ソフトウェア側でもパワフルなアクセスポイントだ」と胸を張る。 ライセンスでは、製品単位のID、クラウド/オンプレミスを利用できる1つのライセンス、1つのサポートモデルを持つ「Cisco Networking Subscription」で提供する。 Ciscoは、クラウド型管理のMerakiとCatalystの統合を発表しており、新しいライセンスモデルは、その上で実現するものだ。Eatherton氏によると、スイッチでは「Catalyst 9300」、そして「Catalyst 9200」(ベータ)などで統合を実現しており、今後も拡充していくという。同時に、Catalystのコントローラー「Cisco Catalyst Center」で管理するデバイスの数は1600万台に達しているという。 基調講演では、6月のグローバルイベントで発表された製品も紹介された。その1つが、「従来のネットワーク構築の概念を根本から見直した」(シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー、ネットワーキングのでデータセンタ&プロバイダコネクティビティ担当のKevin Wollenweber氏)とする「HyperFabric」だ。 HyperFabricは、クラウドベースのコントローラー、Ciscoの「Silion One Q200」プロセッサーを搭載したCisco製スイッチ(Cisco 6000 Series Switches)で構成され、データセンター、コロケーション、エッジなどにまたがるAIインフラを設計、実装、管理できる。NVIDIAのGPUやDPUも統合する。 Wollenweber氏は、「データセンターネットワークの設計から調達、構築、運用、管理に至るまでの全ライフサイクルを完全に再定義した。従来のネットワーク管理ではインフラの運用に多くのリソースを費やす必要があったが、(HyperFabricでは)価値を生むAI部分にフォーカスできる」とメリットを説明する。 合わせてWollenweber氏は、スイッチでは「Nexus 9000 51.2T」を2025年早期に、サーバーでは「UCS 8-GPU Server」を2024年末に出荷開始することにも触れた。 AIインフラでは、10月末のパートナー向けイベントで発表したAIインフラスタック「AI PODs」の紹介もした。Ciscoが検証した設計をAIに拡張するもので、第一弾として推論のPODの受注を開始している。 (取材協力:シスコシステムズ)