吉村順三が手がけた熱海の邸宅で、デニムブランド〈トゥ エ モン トレゾア〉の期間限定ショップがオープン。
住宅建築の名手として知られる吉村順三が手がけた週末住宅を舞台に、その哲学を受け継ぐデニムブランドが期間限定ショップを開きます。 【フォトギャラリーを見る】 1977年に竣工した吉村順三の設計による週末住宅が熱海にある。所有者を新たにしたことをきっかけに、吉村に敬意を払いつつ改修を行うのがデニムブランド〈トゥ エ モン トレゾア〉のデザイナーである佐原愛美だ。吉村のモダニズムと温暖な熱海の気候に着目する佐原は、吉村と同時代を生きたモダニストの家具やアートを中心にキュレーションを行い、空間を更新中だ。2022年より不定期でこの住宅を舞台に招待制のショップを開く。
この夏はアメリカ・ロサンゼルスを拠点に、主にサボテンと多肉植物を題材に表現活動を行うデザインスタジオ〈カクタス ストア〉による庭を設置した。限られた種類の植物で構成する庭園は、モダニズム期のブラジルで活躍したランドスケープデザイナーのロバート・ブール・マルクスから着想したといい、かつてここで暮らした女性が色とりどりの花を楽しんだ花壇の記憶を辿るものだ。
2024年7~8月にかけて、建築や庭の公開とともに、〈トゥ エ モン トレゾア〉のコレクション、〈カクタス ストア〉とのカプセルコレクションを販売する。吉村のモダニズムは同時代の世界のモダニストと接続するものだ、と佐原。吉村のモダニズムを継承しながら更新を続ける美しき邸宅で、その世界観を堪能してほしい。
〈1977-〉
外壁にレンガ、屋根に銅板を使い、高い天井に吹き抜けを持つ吉村晩期の住宅作品。ここを舞台にした招待制ショップとして2024年7~8月の計10日間にわたり一般公開。住所は静岡県熱海市だが詳細は予約者のみ公開。予約は〈Tu es mon Tresor〉の公式ウェブサイトにて受付。
text_Yoshinao Yamada