指導者資格回復した清田育宏氏が語る将来の夢とロッテへの想い「子供たちに野球をやってよかった、と思える場所を作りたい」
千葉ロッテでは2010年から11年間、第一線で活躍し、昨年は独立リーグ・BC武蔵でプレーした清田育宏さん(市立柏出身)。3年前にトレーナーの資格を取得したのち、今年2月には学生野球資格回復審査の認定を受けた。 今後は少年野球から高校・大学、独立リーグなど幅広いカテゴリで、野球の指導に従事していく。今回は「野球を教えるのが好き」という清田さんに今後の抱負を語っていただいた。 【動画】清田育宏さんの現役最終年の打撃!! 「現役の頃も子どもたちへの野球教室に講師として参加したり、BC武蔵でプレーする前の2年間も野球アカデミーで、小中学生に野球を教えていました。でも、人に野球を教えるのは本当に難しいことだとその時に痛感しました。それでも、その子ができないまま指導を終わらせたくなくて、やるからには真摯に向き合いたいと思ったんです。 できるだけ早いうちに、自分のアカデミーをスタートさせて、そこで教えた子どもたちが、野球をやっていて良かったと思ってもらえるような場を作っていけたらいいなと思っています。 また、いずれ中学の部活動がなくなった時に、自分のアカデミーが平日練習ができる場所の一つの選択肢になればいいですし、野球ができる環境が減ると、野球競技人口も減るので、そういった面でも貢献出来たらと考えています」
根性論と理論、どちらも良いところを大切に
市立柏高ではエースで3番として活躍。しかし、東洋大に入学後は3年間公式戦に出られず、悔しさを味わった。当時は野球を辞めようと思った時もあったというが、4年時に投手から野手に転向してから一気に素質が開花。NTT東日本入社2年目で、千葉ロッテからドラフト指名を受けるとその後、長距離打者として結果を残してきた。 「僕は野手としての経験が浅かったので、プロに入ってからも必死で練習してきました。自分で考えて取り組んできた中で分かったことを今の小中学生にも伝えていきたいのですが、その子たちが高校や大学に進んでからでもいいので、『あの時、清田があんなこと言ってたなぁ』とか、自分の言葉が成長のきっかけになってもらえたらいいなと思います」 また、今の野球界の指導に対しても思うことがある。 「野球の考え方も、僕が学生だった時よりもかなり変わってきています。昔のように、試行錯誤しながら自分にとっていいものを見つけていく時代から、今は『これをやればこうなる』っていう答えがすぐに出てきてしまう時代になりました。だから、選手たちも、これは無駄な練習でしょと考えがちなんですけど、僕からすると、いろんなことに取り組んだからこそ学べたこともたくさんあります。 例えば、2時間打ちっぱなしの練習も当時はありましたけど、今はそういうのはないですよね。2時間打って何の意味があるの?ってみんな思うと思います。だけど、2時間打つ中で、疲れた時に体の力が抜けて打てた時の感覚とか、そこまでいかないと分からないこともいっぱいあったんですよね。今はそれが根性論だと捉えられてしまって、何でも理論的になりすぎています。だけど、頭でわかっていても体が動かなかったら意味がないと思うんです。脳がわかっていても、体が動かなかったら意味がないので。もちろん昔は根性すぎた部分はありますが、僕は練習をたくさんしてわかったことがあるので、それを今の子どもたちにも伝えられる部分は、伝えていきたいです。理論を大事にしすぎて、頭で考えすぎても上手くはならないことを」 改めて11年間、NPBでプレーしてきた清田さんに、一流選手になるための条件を聞いてみた。 「自分自身の分析ができて、考える力があって、努力ができるなら、プロでも結果を残し続けられると思います。例えば、大谷翔平君がこれをやっていると聞けば、日本の選手はすぐにそれを取り入れたがりますが、本当に自分にそれが合っているのか?もしくは、もっと違うことに取り組まなくてはいけないのではないか?など人によって違うと思うんです。 山本由伸君も、大谷君もやっていることは一緒ではなくて、自分の体に合ったことを選んで取り組んでいるはずです。自分の特徴を知って練習に打ち込めるからこそ、高いパフォーマンスが発揮できる。高校生は特にそうですけど、ある程度力がついてくると、YouTubeを見たりとか情報を得ることが増えすぎて、見様見真似でとにかく取り入れていては、本当に自分のものにはならないと思います。自分にとってこれはいいけど、これは合わないと判断していけると成長が早いと思います」