元「パープル」「ル・フィガロ」クリエイティブ・ディレクター、クリストフ・ブルンケルが実践するクリエイティブのテクニック
現在進行形のプロジェクト、機能を有するアートとしての家具デザイン
――あなたが「パープル」で活動していた時期と現在では、雑誌やアート、ファッションを取り巻く環境が変化しています。今、カルチャーやアートに携わる若い世代に伝えたいことはありますか?
ブルンケル:カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)は、「理想的な人生とは自分の世界を作り、その中心になることだ」と言っています。自分で雑誌を制作することもその1つです。
編集長が自らコンテンツを作り、少人数のチームで運営されている雑誌は、クリエイションに集中できるので理想的だと思います。ギリシャを拠点とする「ケネディ マガジン(Kennedy Magazine)」という非常に優れた雑誌がありますが、編集長のクリス・コントス(Chris Kontos)がすべての写真を撮影しています。「パープル」の創始者オリヴィエ・ザーム(Olivier Zahm)も、現在同誌の写真の多くを自ら撮影しています。
現代の雑誌はより社会に近づいていて、クリエイティブでもあり、以前よりも人々にとって魅力的なものになっています。新しい世代がファッションに夢中になるのもそのためです。
私は若い人たちに、インターネットを使ったメディア制作が主流の時代にあっても、紙媒体のアイデアを持ち続けることが大切だと伝えたいです。
雑誌を出版することと、インターネットやSNSで発表することとの違いは何か。雑誌を印刷するのであれば、細心の注意を払い、非常にレアでオリジナリティーにあふれたものを作らなければなりません。
例えば半年に1度、600ページの雑誌を作るには、毎日3枚の写真をストックしなければならない。毎日小さな奇跡を起こすんです。そうすれば半年後には特別な雑誌を印刷することができる。若い人たちには、ぜひこの方法で何かしら創ってみてほしいです。
――今後の展開として、自身の家具ブランド、「クリストフ・ブルンケル・モビリエ(Christophe Brunnquell Mobilier)」を設立される予定とのことです。すでに発表されているデザインはキュビズム彫刻を彷彿とさせるような質量とフォルムで、巷にあるプロダクトデザインとは一線を画する存在感です。家具デザインはあなたの創造活動においてどのような立ち位置にあるか教えてください。