杉浦非水やレイモンド・ローウィなどの貴重なデザインも見れる。和田誠が学生時代にデザインした『hi-light』は、緑や青のイメージがあるけれど、実は和田さんは黒バージョンを推していたとか。

「当館はJTの企業博物館ではあるのですが、あくまでも歴史と文化という視点から作品を紹介しています。たばこも塩も様々な文化に広がりがありますし、知らない世界を見ることができると思います。”日常”は次第に形を変えていくので、風俗や文化を保存し鑑賞できることは大切ですよね」

たばことデザインは非常に密接。かつて誰がどんなデザインを手がけていたのか、気になったら4階で資料閲覧も可能。

4階の閲覧室には図書資料庫があり、関連する図書や図録など豊富な資料を閲覧できる。また、5階の多目的スペースでは設置されたイスとテーブルでPCを開いて作業をしている人の姿も。良い意味で博物館とは思えない、堅苦しくないゆったりとした時間が流れていたのも特徴だ。「減塩」「減煙」ともいわれる昨今だが、その裏にある豊かな文化や歴史を学ぶことは”減らして”はいけないことかもしれない。暑い夏の日には涼みに行くだけでも十分に1日が充実しそうな、普段使いしたい博物館だ。

インフォメーション

2015年4月25日に墨田区に移転し、リニューアルオープンした。

たばこと塩の博物館 1978年に渋谷の公園通りで開館。2015年4月25日に墨田区に移転し、リニューアルオープンしたJT運営の博物館。特別展も年に4回ほど開催され、直近では『第45回夏休み塩の学習室　買い物ゲームで塩さがし！2024』として7月20日（土）～9月1日（日）まで参加型展示も開催予定。大人・大学生：100円、小・中・高校生：50円という破格の安さの入館料が信じられない。 ○東京都墨田区横川1-16-3　☎︎03•3622•8801　10:00～17:00（入場は16:30まで）　月、年末年始・休（7月9日（火）～7月12日（金）は臨時休館） photo: Hiroshi Nakamura, text: Ryoma Uchida, edit: Toromatsu