あまりに不運だった西武・松井稼頭央「王道キャリア」での監督就任だったはずが…スーパースターの「悲しき去り際」
西口文也新監督は手負いの獅子を救えるか
長谷川:松井さんの休養後は渡辺久信GMが監督代行という形で引き継ぎましたけど、シーズン途中からということもあり苦労されていましたね。 村瀬:渡辺さんにバトンタッチしたのは、せめて松井さんのことは守らねば、というのが念頭にあったんでしょうね。 長谷川:それこそ西口文也二軍監督を、こういうシーズンの途中に昇格させるなんて絶対しちゃいけなかっただろうからね。やっぱり渡辺さんが引き受けるしかなかった。 村瀬:来季は心機一転、西口さんが一軍監督に就任することになりました。でも、こういう時の西口さんっていいと思うんです。 長谷川:ぼくもいいと思います。 村瀬:苦境に立たされたときの西口さんって、現役時代もそうでしたけど飄々としていたでしょう? 長谷川:ぼくもいま頭に浮かんだのは「飄々」という言葉です。チームが危急存亡に瀕しているときには、ああいう人のほうがいい気がするんだよね。
PL出身の監督3人が同時に辞任
長谷川:今年退任する5人の監督のうち、立浪和義、松井稼頭央、楽天の今江敏晃と、PL学園出身が3人じゃないですか。これは非常に大きな意味を持っていると思うんですよ。特に、松井さんと立浪さんは球団OBとして満を持したタイミングで就任して、どちらも最下位と結果を残せないまま終わってしまった。 村瀬:2人とも球界を代表するスーパースターで、球団やファンの期待を一身に背負いながら監督に就任し、最後は石もて追われるみたいな……。この愛憎相半ばする感じがかわいそうなところはあります。そういえば、PL出身の名将ってほとんど見当たらないんですよね。 長谷川:PLの野球部自体がもうないから、これ以上新しい人が出てこないしね。あと監督候補として残っているのは桑田真澄、宮本慎也……あとはマエケン(前田健太)くらいかな。 村瀬:後々振り返った時に、このPL出身監督3人が一気に辞めた年が、時代の変わり目だったんじゃないかっていう、そういう感じがします。 ………… 【つづきを読む】《第3回》『令和でもその「厳しさ」は通用した…38年ぶり阪神日本一を成し遂げた名将・岡田彰布「マネジメント」の極意』 はせがわ・しょういち/'70年、東京都生まれ。'03年に独立。近著に『海を渡る サムライたちの球跡』『プロ野球アウトロー列伝 異端の男たち』など むらせ・ひでのぶ/'75年、神奈川県生まれ。'00年よりライターとして活動。著書に『虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督』など
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