あまりに不運だった西武・松井稼頭央「王道キャリア」での監督就任だったはずが…スーパースターの「悲しき去り際」
衝撃だった山川の2打席連続満塁ホームラン
村瀬:その山川がベルーナドームでの西武戦で、大ブーイングのなか2打席連続満塁ホームランを打ったじゃないですか。あれで今年の空気が決まっちゃいましたね。 長谷川:山川が登場したときのブーイングは本当凄まじかったけど、いま振り返るとファンはあそこでしかカタルシスを感じられなかったという……。ホームランを打たれた後は沈黙を余儀なくされたもんね。でも、それは果たして松井稼頭央のせいなのか、采配云々の問題かと言われたら違う。 村瀬:4番が岸潤一郎だったり、もしくは3番栗山巧、4番おかわり(中村剛也)だったりとか、これはちょっと見ていて大変だなと思いました。6月にベルーナドームへDeNA戦を見に行きましたけど、スコアボードにお互いのラインナップの打率が出たときに、西武側がほぼ1割台だったんですよ。 長谷川:ホームランも少ないもんね。ピッチャーだって、高橋光成が0勝ですよ? これはもう監督やピッチングコーチの問題じゃないですよ。 この前、友人の西武ファンがヤケクソで言っていたんだけど、松井稼頭央に明確な罪があるとしたら「高橋光成の髪を切らせなかったことだ」って(笑) 「高橋光成のロン毛が西武の品格を貶めている。松井稼頭央は石毛宏典からの背番号7を受け継いでいる以上、もう少し高貴な西武であれ」と。そういう八つ当たりというか、スピリチュアルのような世界観を延々と聞かされました(笑) 村瀬:ハハハ。でもそういうことを理由にしないと、本当に逃げ道がなくなっちゃいますよね。シーズン前の評判は良かったし。 長谷川:ピッチャー陣が揃っていたからね。お客さんも一時は少なくなっちゃんだよね。今年ベルーナに行ったとき、たまたま神宮球場の売り子さんに会ったの。で、「神宮と比べてどう?」って聞いたら「全く売れないんですよ」って……。それなのに球場も遠いから早めに上がらないといけないらしくて、「シフト考え直したほうがいいんですかね」とか悩んでいて。売り子さんにまで大きな影響が出ていました。 村瀬:松井さんはもう1回どこかで再登板させてほしいですね。球団の顔ですし、成功させてあげなきゃいけなかった。ちゃんと時間をかけて戦力を持たせてやらせれば、こんな結果にはならなかっただろうと。そうでないと90年代の西武ファンが浮かばれませんよ。黄金時代後を支えたライオンズのスーパースターが、この去り方では。