井上尚弥が本格練習を再開…次戦相手は未定 ロペスらのラブコールに「そんなにやりたいなら(階級を)下げてこい」
プロボクシングの世界4団体スーパーバンタム級(55・3キロ以下)統一王者の井上尚弥(大橋)が29日、本格的な練習を再開した。横浜市内のジムで練習を公開し、取材に応じた。シャドーボクシング、サンドバッグ打ち、ミット打ちをそれぞれ2回。休養開けとは思えないキレのある動きを見せた。 東京ドームで6日に行われた防衛戦でルイス・ネリ(メキシコ)に1ラウンドに、アマチュア時代を含めて公式戦初ダウンを喫したが、3度ダウンを奪い返して6回TKO勝ち。最も権威ある専門メディア「ザ・リング」が9日(日本時間10日)、パウンド・フォー・パウンド(全階級を通じた最強ランキング)で1位に選定した。「(握手や写真を求められるため)外に出られない」と尚弥自身も反響の大きさに苦笑い。「ドーム決戦自体大成功かなと思う」と満足そうに振り返った。 その後、18日(同19日)にタイソン・フューリー(英国)との対戦で判定勝ちして世界4団体ヘビー級統一王者となったオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)がランキング1位に返り咲き。世界中のファンから議論が巻き起こった。「ウシクが選ばれたのであればそれはそれでいい。自分のボクシングを見せて、また1位に返り咲けたらいいなと」。再奪首に意欲を見せた。 次戦についてはネリ戦後にリングに上がり、尚弥のラブコールに「是非やりましょう」と応えたIBF、WBO1位のサム・グッドマン(オーストラリア)と9月に都内で防衛戦が濃厚と見られていた。しかし、この日、同選手をプロモートする「NO LIMIT boxing」が7月10日に地元でノンタイトル戦を行うオーストラリア・ウロンゴンでWBC8位のチャイノイ・ウォラウト(26)=タイ=と試合することを発表。井上陣営が希望する9月の対戦が事実上、厳しくなった。海外メディアは尚弥とは12月の対戦を希望していると報じている。 大橋会長は「まだ余地はある」とグッドマンと9月に戦う可能性はゼロではないとしたが、東京ドームでアンダーカードに出場したWBO2位のTJ・ドヘニー(アイルランド)との対戦が有力視されている。 37歳のベテランは地元メディアの「IRISH BOXING」に「(我々は)この階級に残っている最もエキサイティングなスタイルを持つ、最も強力なパンチャーの2人だ」と語り、すでに気合い十分。「他の賃金泥棒みたいに怯えながら戦う俺を見ることはないだろう。日本のファンのために全力を尽くします!大和魂を持って参上します」と5度目となる日本での試合へ準備を整えている。 IBF世界フェザー級(57・1キロ以下)王者ルイスアルベルト・ロペス(メキシコ)、昨年7月、尚弥にTKO負けし、フェザー級に階級を上げたスティーブン・フルトン(米国)らが対戦を希望。海外メディアなどを含め、尚弥にフェザー級で戦うことを望む声に「スーパーバンタム級に敵がいないからといって(階級を)上げてこいはおかしい。そんなに(自分と)やりたいなら下げてこい」とたんかを切った。 大橋ジムの大橋秀行会長も「スーパーバンタムであと3試合はやる」と明言。今年9月と12月、来年最初の試合までは階級を上げない方針だ。 戦績は31歳の尚弥が27戦全勝(24KO)、37歳のドヘニーが26勝(20KO)4敗。
報知新聞社