“最強クラス” 台風10号 なぜ予想より弱まったのか 気象予報士が解説
この時期はまだ夏で、特に今、偏西風が非常に強い部分(黄色い矢印)が北に上がってるので、この風にも乗れないと。台風は、この高気圧のまわりの弱い時計回りの風に乗ってゆっくり来ているんです。この日本付近で西も東も高気圧にはさまれて、行くところがなくて、この上空の風にも乗れないので、ゆっくりゆっくり弱い風に乗って今、東に進んでいるということです。 中根夕希 キャスター 矢印も全部、白ですね。 岩永哲 気象予報士 白から薄い色になっていますけど、これは日本の上空の台風を流す風も非常に弱いということなんです。しばらく、あさって9月1日(日)2日(月)くらいにかけてまだ日本付近にたぶん近畿あたりとかにとどまるという予想になっているのは、この台風を押し流す風が今ないという状況でなかなか進むところがないというか、加速していかないという状況です。 田村友里 キャスター 勢力が弱まったのも遅さが原因なんですか? 岩永哲 気象予報士 勢力が弱まったのは、非常にスピードが遅いというのと、思いのほか早く九州に上陸したというのがあるんですが、この3日分の衛星動画を見ていただきたいんです。 3日前からですけど、鹿児島の南までは台風の目もはっきりしていたんですが… 田村友里 キャスター 崩れましたね。 岩永哲 気象予報士 鹿児島に上陸したとたんにだんだん雲の色が消えていきました。鹿児島県で上陸してしまって、割と九州の沿岸部沿いに沿っていったので、地上にいる時間が非常に長かったと。要は台風っていうのは、エネルギー源は海面の熱とその水蒸気が台風に伝わっていって、それがエネルギー源となっているので、温かい海の上じゃないと発達できない。地上に行くと、海がないですからエネルギーが絶たれるので、だんだん衰弱していくと。 本当だったら日本付近で上陸しても動きが早かったら、そこまで衰えないうちに本州付近を縦断したりするので風が強かったり大雨になったりということがあるんですけど、ゆっくりゆっくり移動してきたので、ずっと長い時間、地上にい続けるので、その間に急速に弱まってしまったと。この弱まり方がたぶん当初の予想よりも急速で、なかなか動きがこれだけ遅くなることが3日前・4日前の段階では予想できずに、だから九州の南ぐらいでこの勢力で来ていたら、もうちょっと早く動いていれば九州以外の中四国・近畿あたりでもかなりの勢力で来る恐れがあったので、大事にならないように早めに気象庁も厳重な警戒を呼びかけいたというのもあって、いろいろ交通機関とかも計画運休などもあった。これはなかなか致し方ないのかなというところはあります。