韓国・尹大統領の“自滅”で次期大統領候補の筆頭に躍り出た李在明氏、「反日ポピュリスト」の恐ろしくも呆れた素顔
■ 「反日政治家」 彼のポピュリズム的政策よりも韓国人にとって脅威なのは、彼の外交感である。日本でもよく知られているように、李氏は代表的な反日・親中政治家だ。 李氏は日本を「軍事的適性国家」とみなし、日韓GSOMIAに長い間、強く反対してきた。22年9月に韓国の公海上で開かれた日米韓軍事連合訓練については「韓米日軍事同盟に向かう岩橋が一つずつ置かれている感じ」とし、「日本軍の韓半島(朝鮮半島)進駐と旭日旗が再び韓半島にかかる日が実際に発生する可能性がある」と妄言を弄して、安保問題に「反日」を持ち込んだ。当時の訓練が米国の要請で始まったという事情をよく知りつつ、尹錫悦政府を「親日国防」と罵倒したのだ。 昨年9月には、日本の福島第一原発の処理水放流を阻止するとしてハンストを決行した。もっともこのハンストは自らが被告となっている裁判を遅延させるための小細工なのだが、このパフォーマンスがなぜか中国のネットユーザーの間で話題になり、中国ではK-POPアイドル並みの人気者となったという。 今年5月、個人情報流出問題に端を発して、日本政府が「LINEヤフー」に韓国のネイバー本社との持分整理を要求する行政命令を下した。このとき韓国社会は強く反発したのだが、この時、李氏は日本の総務省の松本剛明大臣が伊藤博文の外孫という点にフォーカスし、「伊藤博文は朝鮮領土侵奪、伊藤博文の孫は大韓民国サイバー領土LINE侵奪」などとSNSに投稿し、韓国国民の反日感情を過度に刺激した。
まだある。今年8月には、韓国の地下鉄駅舎に展示されていた古い独島(竹島)造形物が撤去されたことについて「真相調査議員会」を設け、尹錫政権が「独島消し」に乗り出していると猛非難した。ちなみに独島造形物が撤去された理由は、補修および駅舎内の混雑を緩和し市民の安全を確保するための措置であることが判明している。 つづいて9月には尹錫悦政権の歴史認識が親日史観だとし「新親日派清算チャレンジ」を行った。 このように、とにかく「反日」を自身の政治的人気獲得の材料とするのに非常に巧みなのだ。 ただ、李氏が本当に反日なのかについては疑惑を呈する人もいる。京畿道知事時代に李氏の夫人のお使いを担当した公務員は、李氏が日本の資生堂シャンプーを好んで使い、彼の家族は寿司を好んで食べていたと証言したためだ。 また、李氏の親中観が分かるエピソードもある。今年4月の総選挙で共に民主党の候補の応援演説に出た彼は、尹錫悦政権の対中外交を批判し、「中国になぜ立ち向かうのか、ただ『謝謝』するだけでいいじゃないか」と述べ、また中国と台湾の両岸問題は韓国には関係ないとして距離を置くという立場を表明した。そのため、もしも李氏が次期大統領にでもなれば、米国が主導する日米韓三角同盟から韓国が離脱する可能性も浮上してきている。 ■ 「李在明大統領」なら日米韓の関係性も激変 韓国に「李在明大統領時代」が到来すれば、日米韓“三角同盟”が崩れる可能性が高いのは、共に民主党が主導した尹錫悦大統領に対する弾劾案の内容を見れば分かる。 「(尹大統領が)いわゆる価値外交という美名の下、地政学的均衡を度外視し、北朝鮮・中国・ロシアを敵視し、日本中心の奇異な外交政策に固執したり、日本に傾倒した人物を政府の主要職位に任命したりする政策を展開することで、北東アジアで孤立を招き、戦争の危機を触発し、国家安保と国民保護義務を投げ出してきた」 李在明氏にはNL系(民族解放系列)の社会・労働運動団体である「京畿東部連合」と縁があるという噂もある。京畿東部連合とは、北朝鮮政権に追従し、韓国が北朝鮮に吸収合併される形で高麗連邦制による統一を目指す主体思想派の中核勢力として知られている。2013年、朴槿恵政権時代に反国家団体として憲法裁判所から「解散」命令を受けた「統合民主党」のイ・ソッキ元議員が中心人物だ。京畿東部連合出身の人々は現在、民主労総の指導部と3席の議席を保有している進歩党などの左派政党に布陣しており、尹錫悦大統領が主張する「従北勢力」「反国家団体」だ。 ところで、李氏の地盤である城南は過去は工場が多い地域で、最も強硬な労働運動を展開する京畿東部連合の拠点地として有名だった。 李氏は2010年、城南市長選挙に出馬した際、京畿東部連合出身の民主労働党のキム・ミヒ候補と一本化調整に成功したことで市長に当選した。すると、引き継ぎ委員会に京畿東部連合出身者が大挙起用された。以後も李氏と京畿東部連合は関係を維持しているという主張が、韓国の保守圏から絶えずなされてきた。その主張が事実なら、李在明政権下の韓国は、日本や米国とはまったく違う道を歩むことになるだろう。
李 正宣