藤井貴彦アナ 日テレ退社 52歳の決断を取材…背景にあった亡き父への思い
■放送時間拡大のため、自ら企画書も news every.への思い
――これまでで一番印象に残っている仕事・取材はなんですか? news every.の放送開始からまもなく2年目を迎えようという時に3.11東日本大震災が起きました。当時、私はまだ30代でした。被災地に到着すると、そこは取材どころではない惨状です。「今はカメラを回さないでくれ」とディレクターにお願いして、倒壊しそうな建物からご遺体を運び出そうとしたことがありました。でもその時にディレクターはカメラを止めませんでした。「1人の手ができることには限界があります、だから伝えます」と言うのです。 今、どんな行動にも、どんな言動にも批判がネット上に飛び交い、伝えることへのハードルが高くなっていますが、伝えなければ伝わらない。伝わらなければ批判すら起きない。3.11は、なぜ報道するのかという原点に立ち返る日でもあり、忘れることはできません。 ――14年担当していた番組を卒業する今のお気持ちを改めて教えてください。 news every.は関東地方を中心に午後3時50分から放送をしていますが、以前は午後5時からのスタートでした。当時はドラマなどの再放送を流していましたが、news every.をミヤネ屋に直結して放送ができないものかと、実は自ら企画書を書きました。 今では3時間10分の番組になって毎日大変ですが、それでも14年もの間、多くのみなさんにご覧いただけてよかったと思っています。news every.は私の40代の全てでした。愛着を持って、ともに、必死に成長してきた番組ですから離れることに寂しさはありますが、これからも自信を持ってお送りできる番組だと思います。
■人気アナウンサー1位「そろそろ引退をさせて(笑)」
新型コロナの感染が広がり始め、人々が不安や不満を抱えながら過ごしていた時期には、毎日のようにメッセージを届け続けました。その言葉が多くの視聴者に支持され、人気アナウンサーのランキングで初めて上位に。2021年と2023年に1位を獲得しました。 ――ランキング1位を獲得しましたが、どんなお気持ちですか そもそも私は1位のタイプではありませんし、センターの立ち位置も似合いません。先頭に出ると後ろが見えなくなりますので、あとは後輩に任せます。ただこのランキングから「言葉は心を動かせる」のだと教えてもらえた気がします。一方で、もう十分にお勉強させていただきましたので、そろそろランキングからの引退をさせていただきます(笑) 後輩たちよ、がんばれ!