督促状の入った封筒は届くたびに色が変わり、最後には真っ黒になった。選んだのは19歳での自己破産だった 成人年齢引き下げから2年、児童福祉関係者が「債務トラブルはますます増える」と断言する理由とは
借金を個人だけの問題と捉え、自己責任で片付けることはたやすい。若者が債務トラブルに巻き込まれないためにできる対策はないのだろうか。日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会で副委員長を務める小林孝志弁護士に聞いた。 ―児童福祉関係者は、若い人の自己破産が増えるのは間違いないと断言しています。若者の自己破産は増えているのでしょうか。 「破産の手続きにも時間がかかるため、統計的にはまだ表れてきていません。ただ、借金できる年齢の幅が広がったわけなので、今後、若い人の自己破産の件数が増えていくのは間違いないです」 「若い人は知識も浅く、判断能力が乏しいです。一般社会の非常識を学ぶ機会が減ってしまうため、成人年齢の引き下げについては、私は今でも反対です」 ―借金を抱えて行き詰まった場合、最悪のケースだと自ら命を絶ってしまうことも考えられます。 「私は20歳未満の破産者の案件を対応した経験はありませんが、過去の依頼者には自殺未遂をしてしまった人がいました。それ以降、私も借金苦の自殺者を食い止めるためにできることはないか考えてはいるのですが、とても難しい問題です」
「自殺をする人は、その直前に孤独を感じると言われています。孤独を解消することができれば、最悪の結末は防げるのではないのでしょうか。そのために、周囲が見てあげる、一人にしないといったことが大事なのではないでしょうか。また、弁護士にできることとしては、高いハードルを越えて相談に来た人を絶対に追い返さないことかなとも考えています」 ―借金問題に巻き込まれてしまった場合に、本人にできることはありますか。 「都道府県の弁護士会や法テラス、消費生活センターなど公的な団体に相談するのが良いと思います。どのような借金問題でも必ず解決できます。額が大きくならないうちに、早めに相談してほしいです」