意外と知らない「子どもの体験」の深刻な実態、一番格差が大きいのは「水泳」だった
子ども目線で「放課後」を考える
「放課後」の習い事やクラブ活動は、すべての子どもたちが「するべきもの」、「しなくてはならないもの」ではない。「最近の子どもは習い事が忙しすぎて、遊ぶ時間も十分にとることができずにかわいそうだ」といった声を聞くこともあるが、正当な懸念だろう。 先日、首都圏の私立高校に通う学生と話す機会があった。彼の友人は、親の意向で嫌いな習い事を渋々続けているそうだ。 やりたいことができるのは大事。だけど、やめたいと思ったときにやめられることもまた、大事だと思う。 そんな彼の言葉に賛同する。この社会には、望んでいない「体験」をさせられる子どもたちもいれば、やってみたい「体験」があるのにできない子どもたちもいるのだ(させてあげたいのにさせてあげられない親たちも)。 子どもたち一人ひとりに合った形で、一人ひとりが望む形で、放課後の時間を過ごすことができるべきだろう。友達と自由に遊ぶ時間。ぼーっと過ごす時間。習い事をする時間。 それらをどんなバランスで組み合わせたら、目の前にいる「この子ども」にとって良いと言えるだろうか。こうした問いに真摯に向き合い、大人の目線や都合から捉えるのではなく、その子ども自身の目線で、子どもの権利という観点を第一に、一緒に考えていくこと。それが子どもたちに対する、大人たちの責任であるだろう。
今井 悠介(公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事)