〈目撃〉棚氷の崖から次々に飛び降りるコウテイペンギンのひなたち、初の映像
適応力のある鳥
科学者たちは、崖からの飛び込みが、南極を温暖化させる気候変動と直接関係しているとは考えていない。しかし、フレットウェル氏は、南極大陸の海氷が減少し続けることで、より多くのコウテイペンギンが棚氷で繁殖せざるを得なくなり、その結果、将来的にこのような行動がより一般的になる可能性があると言う。 科学者たちは、2016年以降の南極の海氷の急激な減少が、コウテイペンギンの長期的な生存に悲惨な影響を及ぼす可能性を懸念している。 「今世紀末までにすべてが失われる可能性があると推測しています」とフレットウェル氏は言う。「気候変動がこのまま進み続けるなら、種が消滅してしまうかもしれないと考えると、胸が張り裂けそうです」 ラルー氏は、コウテイペンギンの適応能力に希望を持ち続けており、今回撮影された高所からの飛び降りは、コウテイペンギンのたくましさの証だと考えている。 「彼らには信じられないほどの適応力があります」とラルー氏は言う。「コウテイペンギンは何百万年も生き延びてきて、環境の変化をたくさん経験してきました。問題は、コウテイペンギンが現在起きている変化にどれだけ素早く対応できるか、そしてどこまで追い詰められても耐えられるかです」
文=Rene Ebersole/訳=杉元拓斗