「乗りやすいスーパースポーツの究極形」完全新規モデル、ヤマハ『YZF-R9』はなぜ生まれたのか?
津谷:「成長という言葉には、マシンを育てるという意味もあります。スタンダード状態では、誰が乗ってもとっつきやすい一方、レース専用パーツを用意することでエキスパートライダーの要求にも応えてくれるからです。カスタムやチューニングを通し、ポテンシャルを引き上げる余地があるのが、このR9というモデルです」
◆親しみやすいスーパースポーツは価格も期待を裏切らない
そんなふたりが、トークショーに集ったファンと、今後のユーザーに向けて、こうメッセージを残してくれた。
兎田:「ハイスペックなマシンに憧れがあり、速く走れるようになりたい。でも自分に扱えるか不安。そんなライダーがたくさんいらっしゃるかと思いますが、R9に乗ると、スーパースポーツに対して自信が持てるようになり、ライディングの楽しさを堪能できるはずです。ぜひ一歩踏み出し、そして目覚めて頂きたいですね」
津谷:「ヤマハとしても個人としても、スーパースポーツに対する愛を深く持っていて、こういうモデルがすごく好きなんです。このカテゴリーをもっと盛り上げていきたいですし、幅広い層の方々に乗って頂ける親しみやすさが備わっていますから、楽しみにお待ちください。価格も期待を裏切らないものになるはずです」
では一体、どれくらいの価格になるのか。欧米各国のサイトでは、すでに明らかになっており、EUでは1万3499ユーロ(164.5円/ユーロ換算で約222万円)と発表。MT-09 SPが1万2799ユーロ(同換算で約210万5000円)であるため、その上げ幅はイメージよりもかなりリーズナブルと言っていいのではないだろうか。日本におけるMT-09 SPが144万1000円であることを踏まえると、150万円前後でリリースされることを期待したいところだが、果たしてどうなるか。いずれにしても、YZF-R9の登場によって、新たなファンライディングの世界が開かれることになる。
こうしてR9がアンヴェールされた翌日、2024年の全日本ロードレース選手権の全日程が終了した。JSB1000クラスではR1がランキング1位と2位を、ST600クラスではR6がランキング1~3位を獲得。R9は、そのモデルコンセプトとして、「Re-DNAed Supersport」を謳っているが、そこにはレースとサーキットで育まれ、引き継がれてきたDNAが確実に宿っているはずだ。