暑さ原因で死亡した世界の高齢者、昨年は過去最多41万人…1990年代の年平均の2・67倍
2023年に暑さが原因で死亡した世界の高齢者は、過去最多となる推計41万人で、1990年代の年平均の2・67倍に増えたとする報告書を、国際医学誌「ランセット」などの国際研究チームがまとめた。チームは「気候変動による健康への脅威は記録的なレベルに達している」として、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を迅速に実現するよう求めた。
11月11日にアゼルバイジャンで開幕する国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)を前に、世界保健機関(WHO)など57機関計122人の専門家が、気候変動と健康に関する研究をまとめた。世界気象機関(WMO)によると、2023年の世界平均気温は産業革命前と比較して1・45度上昇し、観測史上最も高かった。
報告書は、同年に熱波や熱中症などで死亡した65歳以上の高齢者を41万人と推計した。地域別では、日本を含む西太平洋地域が14万人と最多で、欧州は13万5000人、南東アジア5万5000人、米州4万8000人などとしている。
さらに、気温上昇は睡眠時間や労働時間の損失にもつながっていると指摘。政府や企業に対し、温室効果ガスを排出する化石燃料に行っている投資を、再生可能エネルギーなどに移行するよう求めている。